1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550588
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横山 正明 大阪大学, 工学部, 教授 (90029281)
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Keywords | キャリア輸送有機材料 / キャリア移動度 / 分子設計 / 樹脂分散 / トリフェニルアミン誘導体 |
Research Abstract |
本研究は電子写真有機感光体として実用上重要な高キャリア輸送能を有する有機光導電材料の分子設計指針を提出することを目的としたものである。低分子化合物の樹脂分散系複合キャリア輸送材料として広く用いられているトリフェニルアミン誘導体について、一連の誘導体の分子構造とキャリア輸送能を詳細に検討した結果、高移動度キャリア輸送化合物開発の分子設計指針として、 (1)空間的に広がりをもつπ電子系化合物において、最も酸化され易い部位、たとえばトリフェニルアミン誘導体においてはN-フェニル基、をホール輸送を担う最小化学構造単位と捉え得ることを見い出し、 (2)キャリア輸送化合物の分子内に、ホール輸送を司どるこの最小化学構造単位をできるだけ多く有すること(多感応性)、 (3)分子内でこのホール最小単位が特定の部位に偏よることなく、共鳴構造の結果として分子内を互いに移動できること(分子内移動性)、が重要であるとの新しい概念とともに分子設計指針を提出した。その概念ならびに分子設計指針の妥当性について、現在実用有機感光体において広く用いられているヒドラゾン化合物に適用して、上記概念が成立つことを確認した。またその分子設計指針にもとづき、トリフェニルアミン2量体化合物(N,N,N′,N′ーテトラフェニルフェニレンジアミン)を新規に合成し、そのメタ誘導体において70wt%の分散量で移動度10^<-4>cm^2/Vsecを達成し、現在まで既報のキャリア輸送低分子化合物の中で、少なくともべスト3に入る高キャリア輸送を有する有機光導電材料を開発することができた。
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[Publications] 高橋隆一: 電子写真. 25. 236-242 (1986)
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[Publications] M.Yokoyama: Chem.Materials.
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[Publications] 田中聡明: 電子写真.
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[Publications] T.Kitamura: J.Appl.Phys.
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[Publications] 横山正明: "電子光機能性高分子,3.2,光導電性高分子" 講談社サイエンティフィク,