1987 Fiscal Year Annual Research Report
低級オレフィンの気相直接水和によるアルコールおよびケトンの選択的合成
Project/Area Number |
62550594
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
岩本 正和 宮崎大学, 工学部, 教授 (10108342)
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Keywords | 気相直接水和 / ゼオライト / アルコール合成 / ケトン合成 / 水中懸濁系 |
Research Abstract |
当初計画で購入を申請していた下記の備品, データ処理装置, 防爆型冷凍冷蔵庫, 真空ポンプ, シールレスマグネットポンプ, 温度調節計, アスピレーターはいずれも予定通り納入され, 順調に稼動している. 研究はほぼ申請時の計画通り進行しており, これまで以下の点が明らかとなっている. 1.フェリエライトおよびモルデナイトは他のゼオライトよりプロピレン水和に高い活性を示し, 常圧, 110°C〜150°Cで平衡到達率70〜80%を達成できた. 2.SiO_2/Al_2O_3モル比が15〜20の範囲のゼオライトが最も高い水和活性を示した. また, ゼオライトの酸量と触媒活性の間には相関関係があり, 酸量が多いほど活性が向上した. 3.プロピレンおよびブテンの水和反応を超安定Y型ゼオライト上で実施すると, それぞれアセトン, エチルメチルケトンが選択的に生成した. これは水和脱水素反応によるオレフィンの酸化であり, 新しい固体触媒反応である. 4.イソブテンの水和によりtert-ブタノールを収率10〜20%, 選択率98%以上で得ることができる. これは現行の硫酸触媒による液相均一系間接水和法よりもよい結果である. 5.水溶液中での接触水和では, イソブテンの水和により, tert-ブタノールを高選択率で得られる. また, 反応速度は反応温度70°Cで最大を示した. 6.水溶液系でのイソブテン水和活性はAl含有量に山型に依存した. 7.ゼオライト触媒による水活反応の反応性はイソブテンの方がノーブテンに比べて極めて大きかった. 本研究では上記5〜7の実験より, 水中懸濁系でプロトン型ゼオライトが高い触媒活性を示すことが明らかになった点が特に注目される. 本結果は混合ブテン系でイソブテンのみを選択的に水和し, tert-ブタノールを生産するプロセスの基礎として重要であろう.
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