1988 Fiscal Year Annual Research Report
層状化合物材料:リン酸ジルコニウムの合成と触媒化学的研究
Project/Area Number |
62550597
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Research Institution | Sophia University, (Jouchi Daigaku) |
Principal Investigator |
瀬川 幸一 上智大学, 理工学部, 助教授 (60053675)
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Keywords | 層状化合物 / リン酸ジルコニウム / ホスホン酸ジルコニウム / 固体酸触媒反応 / ^<31>PーMASNMR |
Research Abstract |
62年度は主にリン酸ジルコニウムの合成法の確立とその構造解析、触媒反応としてシクロプロパンの開環異性化、ブテン類の異性化反応を中心に固体酸触媒の活性点構造について考察を行った。特に各処理温度における結晶の^<31>PーMASNMRより、固体酸触媒として高活性を示すリン酸ジルコニウムは500℃前後で加熱処理した結晶に限られ、層間のPーoH基の一部が加熱により縮合脱水しPーoーP結合に変化し、リン原子囲りの電子密度が飛躍的に高まっていることが解った。その結果として表面に残存するPーoH基のプロトン酸としての能力が高まり、固体酸触媒としての能力が高いことを報告した。63年度は加熱処理をせずに固体酸触媒としての応用を中心に研究を進めた。その理由は縮合脱水を受けるとリン酸ジルコニウムの層間距離が狭くなり、反応基質が層間に充分に入り得ないためである。その対索として層間にかさ間い基を導入し、活性点と共存状態におくことを試みた。具体的にはリン酸ジルコニウムの層間にかさ高さの異なるホスホン酸有機誘導体を植え付け層間距離を増大させることを試みた。ホスホン酸有機誘導体としてはメチル、フェニル、ドデシル、ドコシルホスホン酸の合成を試み、ジルコニウムとの層状化合物を合成し、最大35〓まで層間距離を増大させることに成功した。合成したリン酸ジルコニウムとホスホン酸有機誘導体との複合化物は良好な結晶性を保ち、有機酸のエステル化反応やエステルの加水分解反応にリン酸ジルコニウム単独の場合よりも高活性を示し、新規な触媒材料あるいはイオン交換体としての応用が期待できる。現在、複合化物の詳細な構造解析を^<31>PーMASNMR、^3CーMASNMRで行って、より精密な分子設計の指針を得ようと試みている。
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Research Products
(1 results)