1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550600
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
米田 徳彦 北海道大学, 工学部, 助教授 (50001219)
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Keywords | 芳香族フッ素化合物 / フッ化水素-塩基溶液 / ジアゾ化 / 脱ジアゾーフッ素化 / フッ素化反応 |
Research Abstract |
芳香核へのフッ素基導入法は数多いが一長一短があり, Baltz-Schiemann反応で代表されるアニリン類(Ar-NH_2)のジアゾ化-脱ジアゾフッ素化法も基質の制約や, 低収率性など, 一般的なフルオロ芳香族化合物(Ar-F)合成法としてはその改良が望まれる. 本研究では(Ar-NH_2)のジアゾ化-脱ジアゾフッ素化反応を有効なフッ素イオンが多量に存在する無水フッ化水素(HF)-塩基溶液中で行い, . Ar-Fを効率良く合成する為の諸知見をえた. 本反応は室温以下で行われるAr-NH_2のジアゾ化およびin siteで加熱することによる脱ジアゾフッ素化の二段階で進行するが, HF-塩基溶液の組成の及ぼす影響は後段で大きく, 前段で生ずるジアゾニウム塩を熱分解させる際, その温度で遊離のHFが無い安定な組成のものを用いることによって, タール等の生成など好ましくない副反応を顕著に抑制し, これまでBaltz Schiemann反応が適用できないものも含めてほとんどのAr-NH_2からほぼ定量的にAr-Fが得られることを明らかにした. 塩基としてはピリジン, ピラジン, エチルエーテル等の有機塩基が有効であった. また, 本反応系はペンタンやクロロベンゼンを加えることにより, 液-液2相混合溶液となることが見出され, このような系で反応を行うと生成Ar-FがHFを全く含まない有機相(ペンタン等)に分配され, HF-塩基相はクエンチングすることなく容易に回収され, 充分に活性を保持したまま繰り返し反応に再使用することができ, 本法の工業的実用的応用性の可能性が高いことを示した. 以上のように本法がAr-F合成として有用であることを明らかにしたが, なおp-Aminophenolなど対応するAr-Fを充分な収率であたえない基質もはあり, 本反応系でのジアゾ化機構解明, 脱ジアゾ化段階での置換基効果や光照射効果などを検討していく.
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[Publications] 福原 彊: Synthetic Communications. 17. 685-692 (1987)
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[Publications] 福原 彊: J.Fluorine Chemistry. (1988)
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[Publications] 米田 徳彦: Chemistry Letters. (1988)