1987 Fiscal Year Annual Research Report
コバルト塩を触媒とする光カルボニル化による芳香族ポリカルボン酸の高選択的合成
Project/Area Number |
62550609
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉田 信之 京都大学, 化学研究所, 教授 (50027025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 清 京都大学, 化学研究所, 教務職員
森 貞之 京都大学, 化学研究所, 助手
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Keywords | コバルト塩触媒 / 芳香族ポリカルボン酸合成 / 一酸化炭素 / 光カルボニル化反応 |
Research Abstract |
1. 反応基質として芳香族ポリハロゲン化物あるいはハロゲン置換安息香酸を用い, 各種コバルト塩(2価あるいは3価)を触媒前駆体として, 500W高圧水銀灯照射下, 一酸化炭素によるカルボニル化を行った結果, コバルト塩の種類によらず, 芳香族臭化物では室温, 1〜4時間でほとんど定量的に相当するポリカルボン酸を得た(例えばp-ジブロモベンゼンからテレフタル酸を97%). 塩化物については反応が遅く, また還元反応もわずかに起こるが良好な選択率で相当するポリカレボン酸を得た(例えばm-クロロ安息香酸から65度でイソフタル酸を82%, また1, 3, 5-トリクロロベンゼンからはトリメシン酸76%, イソフタル酸20%など). 2. m-クロロ安息香酸を反応基質とし, イソフタル酸の生成速度に及ぼす反応因子, 例えば一酸化炭素圧, 原料濃度, コバルト塩濃度, 反応温度などの影響を調べた結果, 圧力に関しては0〜1.5気圧までは速度は増加するがそれ以上では減少した. また反応の見かけの活性化エネルギーは7kcal/molを得た. 3. コバルト塩を前駆体とした時の触媒活性種は, UV吸収法, 一酸化炭素下での溶解コバルト量測定, さらにはコバルト溶液からの分解による一酸化炭素放出量の測定などから1価に還元されたコバルトのカルボニル錯体であろうと推定した. またこの活性コバルト錯体と原料ハライドの電荷移動型錯体のものと思われるUV吸収を350nm付近に見いだした. 4. 上記の結果より, 本反応の反応機構は, まず2価のコバルト塩がアルカリ水溶液中一酸化炭素下で1価のコバルトカルボニル錯体になり, これがハライドと電荷移動型錯体を形成し, 光吸収により1電子移動が起こりアリルコバルト錯体が生成し, これから通常のカルボニル化と同様の過程でカルボン酸を生成するものと推定した.
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Research Products
(2 results)