1988 Fiscal Year Annual Research Report
高度な複素環設計能を有する多官能三員環化合物の開発
Project/Area Number |
62550612
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小松 満男 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029197)
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Keywords | 多官能シクロプロパン / 複素環合成 / アザジエン / イミダゾリノン |
Research Abstract |
複素環化合物のより高度な機能や新機能を開拓するために、複素環の多官能化や新規骨格合成のための新試薬や新合成法の開発が多方面から要望されている。このような観点から、本研究では三員環化合物がもつ大きな環歪みに着目し、環開裂をキーとする新しいタイプの複素環設計試薬を開発することを目的とした。本年度は前年度の成果をもとに、多官能化シクロプロパンの環開裂について検討し、C_3ユニット導入を伴う複素環合成への応用の可能性を明らかにした。 1.ジハロシクロプロパン誘導体をトリアルキルホスファイトートリエチルアミン系で還元することにより、既存の方法よりはるかに簡便にモノハロ誘導体が合成できることを明らかにした。 2.ジブロモシクロプロパンカルボン酸エステル類を酸あるいはアルカリ加水分解条件下で処理することにより、β-ブロモブテノリドが合成できることを見出した。生理活性物質と密接に関連するブテノリドの合成法として利用できる可能性が大きい。 3.ジブロモシクロプロビル尿素誘導体をナトリウムメトキシドで処理することによりプロパン環が開裂し、生成物の再閉環によりイミダゾリノン環が得られた。この反応を詳細に検討し、多段階の経路を明らかにするとともに、これらをワンポットで行うことが可能であり、条件の改善により収率を飛躍的に向上させることに成功した。 4.上記の尿素誘導体を塩基処理すると容易に環開裂が進行し、複素環合成試薬として非常に有用なアザジエン誘導体が生成することを見出した。本法は新しいアザジエン発生法として有用であり、系内に適当な試薬を共存させると、シクロ付加によって複素環形成が可能であることも明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Komatsu,et al.: Tetrahedron Lett.
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[Publications] M.Komatsu,et al.: Synthesis.