1987 Fiscal Year Annual Research Report
有機スズ,アンチモンハライド触媒によるオキシランの開環, 付加反応の任意制御
Project/Area Number |
62550613
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 章夫 大阪大学, 工学部, 助教授 (20144438)
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Keywords | モノ置換オキシラン / ヘテロクムレン / 開裂方向制御 / シクロ付加 / 有機アンチモンハライド |
Research Abstract |
モノ置換オキシラン(以下, 単にオキシランと称す)とヘテロクムレンとのシンクロ付加反応において, ほとんど同等の条件下において, 単に, 触媒を代えるだけでオキシランの開環付加の芳香を, ほぼ完全に逆転させることがおおむね可能となった. 以下に各々について結果の概要を示す. 1.a-開裂シクロ付加 触媒としてはPh_4SbIが特異的に効果を発揮し, 同じタイプのPh_4SbBr, Ph_4SbClはもとよりPh_3SbI_2や同族の代表的なオニウム塩であるBu_4PI, Bu_4NIなどはα-開裂選択性を持っていない. ヘテロクムレンとしては, カルボジイミド, イソシアナート, ケテンと幅広く適用可能であるが, なかでもカルボジイミドとの反応はほぼ100%の選択率であった. また, オキシランの置換基による影響はほとんどなく, 特にα-開裂が困難とされている電子吸収性基の場合にも選択的にα-開裂シクロ付加体が得られることは, 本触媒系の優位性を示すものである. 2.ベーター開裂シクロ付加 一般に, 従来の触媒はこのタイプの付加と促進するものであるが, 反応条件が厳しく, 収率も低いことが欠点であり, 適用可能なオキシランにも限界があった. この点に着目し, 活性が高く, 適用範囲の広いことを条件に触媒検索を行った結果, R_2SnI_2とルイス塩基(HMPAやホスフィン)とから形成される錯体が非常にすぐれた活性を示し, ほぼ完全なβ開裂シクロ付加選択性を持つことが判明した.
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