1987 Fiscal Year Annual Research Report
ピラゾレニン誘導体の新規合成とその反応性に関する研究
Project/Area Number |
62550614
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 利一 大阪大学, 教養部, 教授 (60028967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜口 正史 大阪大学, 教養部, 助手 (40029707)
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Keywords | ジアゾアルカン / ピラゾリン / ピラゾレニン / シクロプロパン |
Research Abstract |
1.ジメチルクロロフマレート(1)やジメチルクロロマレート(2)に, 2-ジアゾプロパン(3), フェニルジアゾエタン(4), ジフェニルジアゾメタン(5), 9-ジアゾフルオレン(6)を室温ベンゼン中で反応させると, (3)と(1), (3)と(2), (4)と(1), (4)と(2), (5)と(2)の反応の場合, ほぼ定量的に立体特異的なピラゾリンが単離されることがわかった. しかし, (5)と(1), (6)と(1), (6)と(2)の反応の場合には, N2の脱離をともなってシクロプロパン体が生成した. この場合, 大部分はピラゾリンが立体保持で分解するが, 立体衝害の大きい基が隣接位につくとその相互作用により反転したシクロプロパン体を与えた. 2.上記の反応を塩基存在下行い, 脱HClによるピラゾレニンの生成を検討したところ, 等モル量のトリエチルアミンの転化では収率でピラゾレーンが生成することが認められた. 3.ピラゾレニンの3位にシアノ基とフェニルまたはエステル基の両者が置換したものは, ピラゾレニンが開環してビニルジアゾアルカンを与えることが認められた. シアノ基以外の共役基とエステル基が置換した場合は, 優先的にシグマトロピー転位生成物を与えた. しかしエステル基とアルキル基の置換した場合は安定にピラゾレニンが単離された. 以上のような電子吸引性と共役基による開環については, MO計算(MNOO)から, ピラゾレニンとビニルジアゾアルカンの生成熱の差を求めることにより理論的に裏付けられた. 4.ジアゾアルカンとして1記載(3)〜(6)を用いて, クロローN-(P-トリル)マレイを与えたが, (3)以外の場合は開環したビニルジアゾ化合物を与えた. これに関し, 二つの5員環の縮環にともなう歪の問題を検討中である.
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