1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550629
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津田 鉄雄 京都大学, 工学部, 助教授 (10025992)
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Keywords | アミノ酸合成 / 二官能性π-アリルパラジウム錯体の位置選択的反応 / π-アリルパラジウム錯体と窒素求核剤との反応 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した研究計画のうち, 1.ヒドロキシ基の位置配向性を利用した新規β,γ-不飽和アミノ酸合成について研究を実施した. パラジウム(O)触媒を用いるγ,δ-エポキシソルビン酸メチル(1)と窒素求核剤2との反応を行なったところ, 2を選ぶことによりγ-アミノ酸誘導体3が選択的かつ高収率でえられることが明らかになった(式1). 配位子PR^3_3としてP(OPri)_3を用い、2としてEt_2NH、MeCONHMe、H_2NCO_2Et、TsNH_2、フタルイミドC_6H_4(CO)_2NHを検討したところ、酸性度の高いTsNH_2とC_6H_4(CO)_2NHが3を与えることがわかった。特に、C_6H_4(CO)_2NHは3をほゞ定量的に生成する。反応の位置選択性(α-置換体4とγ-置換体3の生成比)に対する配位子(P(OCH_2)_3CEt、PPh_3、PCy_3、PEt_3、dppf等)と溶媒(DMSO、DMF、C_6H_6-THF)の効果を検討したが、選択性に変化はみられず3のみが生成した。従来、安定な炭素アニオン求核剤と1との反応は、α-体を選択的に与えることが知られているので、本研究で見出された求核剤の種類による反応の位置選択性の変化は興味深く、パラジウム触媒を用いる多官能性有機化合物合成の反応スコ-プの拡大に役立つ。 しかしながら, 生理活性アミノ酸の観点からはγ-アミノ酸よりもα-アミノ酸の方がより重要であるので, 今後はヒドロキシル基よりもより強い電子吸引性置換基の使用やCO_2Me基をより電子吸引性の弱いアミド基に変換すること等により, α-選択性を実現したいと考えている.
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