1987 Fiscal Year Annual Research Report
有機IV, V, VI族典型金属化合物の合成とC-C結合生成反応への利用
Project/Area Number |
62550636
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
菊川 清 近畿館大学, 九州工学部, 教授 (60037918)
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Keywords | 位置選択的付加 / 立体選択的付加 / ヒドロスタニル化 / 錯体触媒 / 立体選択的オレフィン合成 / アルケニルスズ化合物 / アルケニルケイ素化合物 / 非対称ジアリールテルル |
Research Abstract |
1.トリアルキルヒドロスタンナンを用いる末端アセチレンのヒドロスタニル化反応に対して, VIII属遷移金属錯体触媒(Rh, Ni, Pd, Pt, Coなど)が非常に高い活性を示すことを見出した. なかでもロジウム錯体, RhCl(CO)(PPh_3)_2は高活性なだけでなく, 位置選択的なα-スタニルアルケンを好収率で与えることを明らかにした. また, 重水素化アセチレンを用いたヒドロスタニル化反応では, 選択的にシス付加で進行することを見い出した. 従来最もよく用いられて来たラジカル触媒系が, β-スタニルアルケンをトランス付加を主要な経路として与えることと全く逆であり, 興味深い. 2.1で得られるα-スタニルスチレンと芳香族ジアゾニウム塩の反応を0価のパラジウムを触媒として検討したところ, 興味あることに, シススチルベン誘導体を選択的に且つ好収率で与えることを見出した. 本反応は, ニトロ基やカルボニル基など多様な置換基をもつシススチルベン合成法として重要である. 一方, α-シリルスチレンとジアゾニウム塩の反応では, 選択的にトランススチルベンを生成した. このアルケニルスズとアルケニルケイ素による立体化学の相違は, 付加中間体からのスズあるいはケイ素の脱離様式の違いによると考えられる. 今後内部アセチレンの立体選択的ヒドロスタニル化反応を開発すると共に, それを用いた立体選択的オレフィン合成を計画している. 3.ヘキサアルキルジスタンナンとジアゾニウム塩の反応により, ニトロ基やカルボニル基など多様な官能基を含むアリールスタンナンの合成法を確立し, 芳香族ケトン合成に応用した. 4.ジアリールジテルリドヒジアゾニウム塩の反応により, 極性官能基をもつ非対称ジアリールテルルの合成法を見出したが, 収率向上の為, 反応条件等の検討を加える予定である.
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