1987 Fiscal Year Annual Research Report
可視光による新しい水酸化還元系の開発とその合成化学的応用
Project/Area Number |
62550638
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
北尾 悌次郎 大阪府立大学, 工学部, 教授 (10081324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬恒 潤一郎 大阪府立大学, 工学部, 助手 (10117997)
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Keywords | 光酸化 / 光還元 / インジゴ / ポルフィリン |
Research Abstract |
可視光を有効に利用できる合成反応の開発を行う為には可視光による光エネルギー移動あるいは光電子移動を有効に行なう色素反応系を創出する必要がある. 前者の例として色素増感光酵素酸化反応がよく知られているが, 後者は一般性が高く広い応用が考えられるにも拘らず, いまだ有効な反応は知られていない. 本研究では新しい光酸化還元系の開発とその利用を目的としているが, 62年度では第一にN, N′-置換インジゴ誘導体の三級アミンによる光還元反応のメカニズムについて検討した. トランス型のN, N′-ジアシルインジゴの場合は一重項励起状態に帯する電子移動が主要経路となり, 二電子還元が一挙に進行するのに対し, シス型のN, N′-置換インジゴの場合は三重項励起状態への系間交差が起こった後で電子移動が起こる為に, 三重項ラジカル対が生成し, ラジカル対の解難が遊離となって一電子還元体が得られやすい事か明らかとなった. この結果を基にして合成したN, N′-オキサリルーN, N′-ジーt-ブチルインジゴは有機溶媒に可溶であり, 三級アミンによる光還元活性およびインジゴ還元体の空気酸化活性が格段に向上し, 三級アミンの酸化的光脱アルキル化に必要な光酸化還元サイクルが可能となった. 第二に種々のN, N′-架橋ポルフィリン誘導体の合成法について検討した. 即ち, 通常の有機化学的手法では困難なN, N′-架橋基の導入を行なう為に, 生体系のヘム蛋白の反応挙動をモデルとして有機金属ポルフィリンを経由する新手法によってN, N′-エテノ, N, N′-エタノ, N, N′-ビニリデン架橋ポルフィリンを合成する事ができた. これらの誘導体はメソ位に求核攻撃を受けてフロリ誘導体に変換されるが, ハイドライドとの反応で生成する5H-フロリンは空気酸化を受けて元に戻る事. 可視光照射によってこの酸化還元反応が加速される事を見い出した. 以上の様に光酸化還元系として新しい色素誘導体を合成した.
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