1987 Fiscal Year Annual Research Report
分子集合体触媒による立体選択的有機反応および機能性材料への応用
Project/Area Number |
62550639
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
伊原 靖二 山口女子大学, 家政学部, 教授 (80106583)
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Keywords | 分子集合体触媒 / 立体選択的有機反応 / 機能性材料 / ペプチド触媒 / 立体制御 / アミノ酸エステル誘導体 / 加水分解反応 |
Research Abstract |
1.高分子集合体およびペプチド触媒の合成: 高分子集合体として, N-C3-ジメチルアミノアクリルアミドおよび4-ビニルピリジンをそれぞれラジカル重合させ, 得られたホリマーに約10%, 15%のセチル基を導入した. その後エケルブロミドおよびエチレンブロムヒドリンと反応させ, ほぼ完全に第4級化された高分子集合体を合成した. これらポリマーはさらに限外ろ過法により精製して使用した. また光学活性な触媒として, 反応基(ヒスチジン)と疎水性認識部位(ロイシン, フェニルアラニン等)を含むジペプチドを合成した, また一部のトリペプチドの合成も検討中である. 2.立体制御に関する速度論的研究: 上記で合成した高分子集合体およびすでに調整済の界面活性剤ミセル, 合成二分子膜を反応場として用い, ジペプチド触媒を共存させた系にて, アミノ酸エステル誘導体の立体選択的エステル加水分解反応を速度論により検討した. その結果, いずれの分子集合体においても立体選択的反応が確認されL構造を有する触媒においてはL基質を選択的に加水分解することが認められたがその選択性は触媒の構造により著しく変化した. また各分子集合体の効果については, 合成二分子膜が一般的に高選択性を示し, 今回合成した高分子集合体は, 他のものと比較してその効果は小さかった. これは導入した疎水性基の影響と考えられる. さらに酸素反応類似様の取扱いを行ない速度論的に解析したところ, 立体選択性の発現は, 複合体形成の結合過程ではなく, その後の反応の過程で沢まることが明らかとなった. また一部の触媒および界面活性剤ミセル混合系において, アシル中間体の存在を確認するとともに, アシル化, 脱アシル化両過程の速度を解析し, 立体選択的反応機構を考察した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] IHARA, Yasuji: J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2.607-611 (1987)
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[Publications] IHARA, Yasuji: J. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed.
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[Publications] NANGO, Mamoru: Macromolecules.