1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550644
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
荒井 健一郎 群馬大学, 工学部, 助教授 (50008455)
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Keywords | ウンデシレン酸ナトリウム / 臨界ミセル濃度 / ミセル / UV光照射 / 重合 / 第二臨界ミセル濃度 / 分子内ミセル / 触媒活性 |
Research Abstract |
本研究では両親媒性化合物を分子集合体を形成している状態で重合し, その重合挙動と得られた重合体の諸特性を検討している. 最初にウンデシレン酸ナトリウム(UANa)のUV光照射下における重合挙動を調べるた. まず, UANa水溶液の粘度や電導度の測定などから, この水溶液が約0.04mol/l付近に第一臨界ミセル濃度(CMC)を, また0.12mol/l付近に第二CMCを示すことを認めた. このUANA水溶液にUV光(>200nm)を照射すると, 第一CMC以下の濃度では重合体は得られないが, それ以上の濃度になると, 濃度と増加とともに得られる重合体の量が著しく増加し, さらに濃度が第二CMC以上になると重合体収量の増加がゆるやかになる傾向が認められた. 得られた重合体の重合度は第一CMCから第二CMCまでの範囲では重合時のUANa濃度の増加とともに増加し, 第二CMC付近で約15という極大値を示し, それ以上の濃度では濃度の増加にしたがって低下する傾向を示した. 次に, 得られた重合体の界面活性剤としての特性を検討した. 水溶液の電導度測定および疎水性プローブを用いる蛍光発光スペクトルの解析によってこの重合体がUANaモノマーよりはるかに低い濃度2.0×10^<-4>mol/l付近に第一CMCを, また7.0×10^<-3>mol/l付近に第二CMCを示すことを認め, これらは重合体セグメント間の分子内相互作用による分子内ミセル形成と, そのミセル間の分子間相互作用に由来するものと推定した. またこの重合体ミセルはUANaのミセルよりかなり強い疎水場を持つことを認めた. この重合体の各種エステル類の加水分解に対する触媒活性を検討し, pH一定の条件下では重合体が極く低い濃度で反応を加速することを見出した. これは一般のアニオン系界面活性剤ではみられない特異な現象であり, 現在さらに検討を続けている.
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[Publications] Kenichiro Arai: Die Makromolekulare Chemie. 188. 2511-2516 (1987)
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[Publications] Kenichiro Arai: Die Makromolekulare Chemie, Rapid Communications. 8. 563-567 (1987)
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[Publications] Kenichiro Arai: Die Makromolekulare Chemie.