1987 Fiscal Year Annual Research Report
GPCにおける高分子の分離・溶出過程の光散乱法による研究
Project/Area Number |
62550653
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根本 紀夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (90027053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綱島 良祐 京都大学, 化学研究所, 助手 (30089130)
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Keywords | 光散乱 / 拡散係数 / 分離効率 / GPC / ゲル |
Research Abstract |
本研究はGPCにおいて高分子の分離効率を決定する物理量の一つは, 微視的空間であるゲル内部の孔の中及びゲル表面近傍での溶液の拡散係数Dであることに着目し, Dの測定法として動的光散乱並びに強制レイリー散乱法を用いる新しい研究手段の開発を第一目的としたものである. この目的の達成のため, 本年度では以下の事を行った. 1.GPC用坦体ゲルを充填・固定化できる光散乱フローセル並びに溶液の循環および流れの方向を一定時間毎に逆転できる送液装置の設計・製作はほぼ完了し, 現在装置のテストを行っている. 流れに脈動が生じないよう特別の工夫を要することが, テスト中に判明した. 2.当研究室でこれまで行ってきた研究中に蓄積した知識をもとにして, 新たに本研究用に光散乱室そのものの製作を行っている. この製作には多少時間を要しているが, 本年3月には出き上る予定である. 3.ポリスチレン・ゲルと等密度, 等屈折率のチオフェノールを用いてゲルー溶媒系を調製したところ, ゲルとしてあまり巨大な粒子径のものを用いると等屈折率でもかなり強い散乱が生じることがわかった. この原因としてはゲル内部の不均質性によるものと考えている. 4.自己拡散係数Dsの測定に使用する強制レイリー散乱装置は順調に稼動しており, 線状高分子の濃厚溶液中及び微視的相分離構造を呈するブロック共重合体溶液中での自己拡散運動機構について有用な知見を得た. 5.本研究に関連する線状ポリスチレン準濃厚溶液中でのポリメチルメタクリレートの拡散・沈降実験は完了し, 準濃厚領域での高分子の拡散機構をほぼ全面的に解明することに成功した.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] N. Nemoto: Macromolecules. 21. (1988)
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[Publications] N. Nemoto: Macromolecules. 21. (1988)
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[Publications] 井上正志: 日本レオロジー学会誌. 16. (1988)
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[Publications] 児島誉治: 高分子学会予稿集. 37. (1988)
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[Publications] 井上正志: 高分子学会予稿集. 37. (1988)