1988 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光相関分光法による準濃厚溶液中における拡散の研究
Project/Area Number |
62550655
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
塩川 浩三 九州大学, 工学部, 助手 (70089928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾山 外茂男 九州大学, 名誉教授 (80037663)
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Keywords | 蛍光相関分光 / 相関計 / 準希薄溶液 / 拡散 |
Research Abstract |
蛍光相関分光法は標的である蛍光分子を含む溶液中の微小体積から発する蛍光強度の時間相関スペクトルを測定する。その相関時間と観測断面積から蛍光分子の拡散定数を評価することができる。低分子を標的とすると、分子数の揺らぎは小さいので測定は非常に困難であることが予想されるが、蛍光基を多く含む高分子鎖を標的とすれば分子数の揺らぎは相対的に大きくなり、測定可能になると予測される。 本年度はまず光学系の改良を行った。試料は蛍光セル中に入れ、細く絞ったレーザー光で照射する。レーザー光と直角な方向への蛍光を石英ガラス製のシングルモード用オプティカルファイバーで導き、レーリー光を除くためのロングパスフィルターを通して光電子増倍管により光電子パルス列に変換する。このパルス列はフォトカウンティングユニットによりディスクリミネーション、波形整形され、TTLレベルのパルス列として相関計に入力される。相関系は昨年度自作した。マイクロコンピュータを使用したもののソフトウェアを改良して用いた。この装置構成で蛍光を含まない場合のカウントは2Hzであり、非常に微小な領域からの蛍光を観測できた。 蛍光基を含むポリスチレンビーズを試料として操作条件について検討を加えた。いずれの場合もS/N比が小さく測定が非常に長時間になるのが最大の難点である。高分子の場合、分子数は容易に小さくできるが拡散が遅いので、測定時間を短くするためには、全体積を小さくするより、観測断面積を小さくすることが望ましい。またベースラインの変化を小さくするため、レーザーの出力の安定化が特に重要である。短時間の揺らぎは平均化されるが、ドリフトを押さえることが大事である。 さらに拡散以外の機構でも分子数の揺らぎがあれば時間相関が現れるので結果の解析には十分注意する必要がある。
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Research Products
(2 results)