1988 Fiscal Year Annual Research Report
機能性を有するフェノール系樹脂の合成コンピュータによる反応解析
Project/Area Number |
62550668
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Research Institution | KANAZAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石田 真一郎 金沢大学, 工学部, 教授 (40019716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 幸雄 金沢大学, 工学部, 助手 (50019741)
中本 義章 金沢大学, 工学部, 助教授 (20019772)
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Keywords | フェノール樹脂 / カリクスアレン / ホスト-ゲスト相互作用 / コンピュータ / シミュレーション / θ温度 / 分子形状 / 水素結合 / 分岐 |
Research Abstract |
機能性を有する新規フェノール系樹脂の合成、生成反応の解析、分子特性の解明などについて研究し、以下に示す知覚を得た。 1)カリクスアレン(フェノール系環状オリゴマー)は種々のコンホメーションを取り得るが、ホスト機能を最も有効に発現するのはcone型と考えられる。このコンホメーションを保持した化学修飾が望まれるが、一般に反応に際して変化する。前年度のエステル化に次いで本年度はエチルエーテル化に際してこれに成功した。またカリクスアレンの樹脂化反応の一貫として水酸基にエポキシ基を導入し、不溶性エポキシ樹脂を得、これの吸着特性を検討した。 2)フェノール樹脂の初期生成反応は、フェノールが三官能性であること、付加と縮合の繰り返しであることなどのため、多くの素反応から成る。各素反応の反応速度を従来の有機化学的手法で求めることは不可能であり、コンピュータ・シミュレーション法を適用して求めた。 3)フェノール樹脂分子は溶液中で緻密な球状構造をとることはすでに報告したが、その原因を明らかにするため、パラあるいはオルト置換フェノールとフェノールを共縮合させ、分岐度の異なる樹脂を合成して分岐の影響を、またそれらをアセチル 化にして水素結合の影響を検討した。 4)相平衡実験からフェノール樹脂に対して初めてθ温度を決定した。さらにアセチル化O-クレゾール樹脂がθ溶媒中で非摂動状態となり、良溶媒中で排除体積を示すなど線状高分子として挙動することを知った。 5)主鎖に芳香族ジアミンを有するフェノール樹脂を合成し、その分子形状について前年度合成した樹脂族ジアミンを有する樹脂と比較したところ、芳香環の堅さのためアミン含有率の増加とともに拡がることがわかった。さらに脂肪族ジアミンを主鎖に導入することによって、樹脂はかなり可撓化され強靱となることを動的粘弾性実験から明らかにした。
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[Publications] 中本義章: 金沢大学工学部紀要. 21. 119-124 (1988)
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[Publications] 吉村幸雄: 熱硬化性樹脂. 9. 206-215 (1988)
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[Publications] SUE,HARUAKI: Journal of Applied Polymer Science.
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[Publications] SUE,HARUAKI: Polymer Bulletin. 21. 97-104 (1989)
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[Publications] 中本義章: 熱硬化性樹脂. 10. (1989)
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[Publications] 中本義章: 熱硬化性樹脂. 10. (1989)