1987 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性多官能ビニル化合物の重合:アリルアンモニウム塩の環化重合およびゲル化
Project/Area Number |
62550679
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松本 昭 関西大学, 工学部, 助教授 (30067681)
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Keywords | 水溶性多官能ビニル化合物 / アリルアンモニウム塩 / ジアリルジメチルアンモニウムクロリド / テトラアリルアンモニウムクロリド / アクリルアミド / 環化重合 / ゲル化 / ハイドロゲル |
Research Abstract |
アリルアンモニウム塩として, 主としてジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)およびテトラアリルアンモニウムクロリド(TAAC)を取り上げ, 1)DADMACの単独重合, 2)DADMACとアクリルアミド(AA)の共重合, 3)TAACの環化重合および4)TAACの重合におけるゲル化について研究した. 得られた成果の概要は次の通りである. 1)DADMACの環化重合挙動を詳細に検討した結果, i)環化重合性が非常に高い, ii)ポリマー中の環構造は5員環より成る, iii)重合速度および生成ポリマーの重合度は通常のアリル重合に比して高いことなどを明らかにした. 2)DADMACとAAの共重合を仕込み組成を種々変えて行ったところ, DADMAC仕込み量20mol%の系でゲルの生成が認められた. このことはDADMACの高い環化重合性を解明する上からも興味が持たれるところであり, 生成ポリマーの極限粘土, 分子量および分子量分布の測定. さらにはNMR分析等から種々検討した結果, 未環化ラジカルの分子内アリル水素引き抜きおよび生成アリルラジカルの再開始反応が重要であることを提案した. 3)トリあるいはテトラアリルアンモニウム塩の重合がDADMACに比してかなり低いことを見い出し, 特にTAACの重合を動力学的に詳細に検討した. 重合速度の開始剤濃度次数はDADMACの0.64次に比してTAACでは0.93と得られ, 退化性連鎖移動が重要になっていることが明らかとなった. ポリマー構造はモノシクロ環およびビシクロ環から成ることが判った. 4)TAACのゲル化挙動を, ゲル生成曲線, プレポリマーおよびゾルの分子量および分子量分布の追跡, ゲルの膨潤性等の観点から詳細に検討し, 非水系でのジビニル重合のゲル化挙動と比較考察した. ゲル化点の理論値からのずれは非水系に比して著しく, 生成ゲルの膨潤比はゲル化点直後で約500以上と大へん大きなものであった.
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