1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550694
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 寛 名古屋大学, 工学部, 助教授 (40043286)
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Keywords | ポリマーブレンド膜 / イオン透過 / 能動輸送 / 重金属イオン / 濃縮・分離 / イオン交換膜 / 有効拡散係数 |
Research Abstract |
ラクトン環が交互に連続する構造のポリ(イソブチレンーalt.co-無水マレイン酸)(ISBN)とポリスチレンスルホン酸(PSA)を固定キャリアとした各種ポリマーブレンド膜の合成を試み, アルカリ金属及び重金属イオンの膜透過機構を検討した. 架橋剤としてポリビニルアルコール(PVA)を用いて, ISBN/PVA/(I)及びPSA/PVA(II)のブレンド比を変えて製膜した. 膜特性としての水による膨潤性, イオン交換容量と交換平衡関係を調べた. I膜ではブレンド比とともに膨潤性が増大し, ゲル化する. その比が3/1のときで約2倍膨潤するが, pHと共存金属イオンの影響が大きいので, アセタール化を試みた. その結果, 膨潤性は抑制できたが, 交換容量が低下し, 透過速度を低下するので, 最適なアセタール化率の選定が重要になる. イオン交換容量はラクトン環から生じる全カルボキシル基の約15%, PSA中のスルホン酸基の約20%が官能基として作用する. アセタール化した場合は, その官能基数は30〜40%ほど減少する. イオン透過速度はこれらの膜をダイヤフラム型の装置に挟み, 金属イオンのdownhill及びuphill輸送を行い, 透過流束を求めた. 膜厚さ100〜1000μmの膜に対する流束は膜厚さに逆比例する関係が得られたことから, イオン透過は拡散機構に従うと解釈でき, 有効拡散係数Deの概念が適用し得る. I膜ではNa^+のDeとして(2〜4)×10^<-11>m^2/sが得られ, 市販のイオン交換膜より大きい値を示した. これは膨潤性が大きいことに起因しており, カチオン透過に際して対イオンの移動が生じる欠点にもなる. 輸送あるいは分離目的のカチオンと逆方向へのH^+移動に際して, 対イオンがH^+と同方向に移動しており, 本実験ではH^+とCl^-の流束の差に相当するカチオンの移動が生じることを見い出した. 従って能動輸送には不利な膜と考えられることから, これらの膜のグラフト化により疎水基を導入し, 膜改質を行う予定である.
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