1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550702
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
〓岡 弘勝 広島大学, 工学部, 教授 (50034385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 寧和 広島大学, 工学部, 助手 (70194058)
滝嶌 繁樹 広島大学, 工学部, 助手 (10188120)
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Keywords | エンタルピー / 等温流通式熱量計 / 高圧ガス / 混合ガス / 状態方程式 |
Research Abstract |
研究計画に基づき, 本年度は以下の2つの項目について検討を行った. 1.等温流通式熱量計の設計及び製作…本研究で検討する等温法に基づくエンタルピーの測定原理は, 高圧状態のガスを加熱しながら大気圧まで等温膨張させ, 膨張後のガスのエンタルピー(計算により求める)から加えた熱量を減じて高圧状態のガスのエンタルピーを求めるものである. 従って, 本熱量計の設計においては(1)等温系の達成と(2)熱量計と外部との間の断熱が重要である. (1)については, 熱量計内部に3種類の同心のシリンダーを組み込んでガス流路を長くすると共に, 2種類の加熱用ヒータを用いて個々に温度制御することにより, 等温系を達成した. ヒータの1つは膨張管の回りに巻いて目標温度よりも若干低い温度に粗調整し, もう1つは最も内側のシリンダーの外壁に巻いて熱量計出口におけるガス温度が目標温度になるように±0.01°Cの精度でPID制御した. (2)については, 熱量計の外部を断熱材で覆うと共に, 配管や配線を通っての熱の移動がないように留意した. 2.装置の健全性の検討 文献値の豊富な窒素, 二酸化炭素, 及びこれらの混合物のエンタルピーの測定を行い, 装置の健全性の検討を行った. 窒素については温度25°C, 圧力1.5〜4.5MPaにおいて測定を行い, 本実験値をDaweらの文献値, 及びJacobsenの状態方程式による推算値と比較したところ, 平均偏差はそれぞれ3.4及び3.6J/molであった. また, 本実験値の平滑線からの平均偏差は0.6J/molであり, これは誤差解析から求めた実験値の誤差の20%程度であった. 二酸化炭素, 及び混合物についても同程度の結果となった. 以上の様に本実験値は文献値と極めて近い値であり, また平滑線からの偏差も小さいことから, 本装置の健全性が確認できた. 来年度は本熱量計を用いて, 二酸化炭素を一成分とする混合ガスのエンタルピーを測定する予定である.
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