1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550705
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
船津 和守 九州大学, 工学部, 教授 (80037960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 琢 九州大学, 工学部, 助手 (10209538)
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Keywords | 大量高密度培養 / 動物細胞 / ポリウレタンフォーム / 充填層培養 / 血栓溶解酵素 / 植物細胞 / ドラフトチューム付きエアーリフト槽 / カロチノイド色素 |
Research Abstract |
1.新たな知見、成果 (1)サル腎細胞(Vero細胞)は、細胞内に蓄積する形で血栓溶解酵素(ウロキナーゼ)を生産していることが明らかとなった。 (2)発泡ポリウレタン(以下PUFと略す)を付着担体として用い、腎細胞をPUF充填層で高密度培養すると、酵素比活性が通常のシャーレ培養に比べ約2.5倍高くなり生産性も向上した。現在、使用培地量;625ml、酵素生産量;1525unitで、シャーレ培養の約22倍のスケールアップが可能となっている。また培地の流動が細胞の酵素生産を制御することが示された。 (3)ニンジン細胞を用いて各種培養装置による高密度培養を試みた結果、ドラフトチューブ付きエアーリフト槽が最も良い結果を示し、最高細胞密度は1×10^7 cells/ml-mediumに達した。この値は通常よく用いられる三角フラスコによる振盪培養の約4倍の細胞密度であった。 (4)高密度培養したニンジン細胞から、有用色素であるβ-カロチンを高度に精製する手法が確立された。この手法を用いることで、β-カロチンが細胞増殖初期より生産され、対数増殖後期に生産量のピークがあり、後は細胞数は増えるものの生産量は減少していくことが明らかとなった。またこの生産量のピーク時に細胞を回収することで、培養液量1リットル当り、約74μgのβ-カロチン生産が見込まれることが確認された。 2.今後の研究の展開に関する計画 (1)培地の流動(細胞への剪断力負荷)がサル腎細胞の血栓溶解酵素生産に与える影響を定量的に評価する。 (2)ヒト腎細胞をPUFを用いて高密度培養し、ヒト血栓溶解酵素の大量生産に適した培養装置の設計を試みる。 (3)ニンジン細胞のエアーリフト槽による高密度培養系で、溶存酸素量や光照射量がβ-カロチン生産に与える影響についての知見を得る。 エアーリフト槽による半回分式の連続培養によって、ニンジン細胞の対数増殖後期を維持し、β-カロチンの連続生産を試みる。
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[Publications] 船津和守: 化学工学. 52. 221-227 (1988)
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[Publications] 船津和守: ACTIVE. (1989)
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[Publications] 船津和守: 日本機械学会誌. 92. (1989)
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[Publications] 松下琢: 化学工学論文集. 15. (1989)
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[Publications] 石井俊之: 化学工学協会第21回秋季大会研究発表講演要旨集. 44 (1988)
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[Publications] 小川勝也: 化学工学協会第21回秋季大会研究発表講演要旨集. 51 (1988)