1988 Fiscal Year Annual Research Report
天然高分子アルギン酸のゲル粒子による希土類元素の分離
Project/Area Number |
62550708
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
浅井 悟 大阪府立大学, 工学部, 教授 (90081348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 康裕 大阪府立大学, 工学部, 助手 (90167403)
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Keywords | 希土類元素 / レアメタル / 天然高分子 / 機能性高分子 / アルギン酸 / ゲル / 吸着 / 分離 |
Research Abstract |
天然高分子アルギン酸のゲル粒子を捕集剤とする希土類元素の選択分離を目的として研究を行い、現在までに次の諸点を明らかにした。 1.錯化剤無添加での吸着平衡 昨年度は軽希土(La、Nd、Sm)から重希土(Dy、Yb)を対象として、アルギン酸ゲルによる吸着平衡を測定したが、一部の実験データの再現性が十分でなかったので、追加実験を行い、精度の高い吸着平衡データを取った。また、プラセオジウム(Pr)に対する吸着平衡関係を新たに測定し、分配平衡定数を決定した。 2.錯化剤(乳酸)存在下での吸着平衡 希土類元素間の分離係数の向上を図るために、液相に錯化剤として乳酸を共存させて、アルギン酸ゲルによる各種希土類イオンの吸着平衡実験をバッチ法で行った。分配比の実測値は、乳酸を添加しない場合と同様に、ゲル相の官能基濃度と液相の水素イオン濃度との比の3乗に比例して増大することが見出されたが、溶液のイオン強度(0.3kmol/m^3以下)によって影響されないことがわかった。これらの実験データを、液相中の希土類イオンと錯化剤(乳酸)との錯形成反応を考慮して導出された固液間分配平衡の理論式に基づいて解析した結果、乳酸の添加により、各元素の分配平衡定数の値は減少するが、元素間の分離係数の値は大きくなって分離効果がよくなることが明らかになった。従って、液相に錯化剤を共存させて各希土類元素の有効濃度(錯形成していない希土類イオン濃度)を変化させれば、平衡分離法によって希土類元素をよりよく分離することが可能である。また、乳酸以外の錯化剤を添加した場合の分離係数は、本研究で求めた錯化剤無添加の場合の分配平衡定数と、希土類イオンと錯化剤との錯体形成反応の安定度定数や錯化剤の解離定数の文献値を、上述の分配平衡理論式に代入すれば推算できる筈であるが、この点に対しては今後検討したい。さらに、イオン交換反応速度の測定等についても計画中である。
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