Research Abstract |
カラシナの2品種を用いて, 1平方当たり1万粒の種子を播種し, 毎代の後代から同様の条件で継代された集団(H型)と1平方メートル当たり1個体に間引いて毎代栽培した対照集団(C型)を供試して, H型集団の特性を明らかにするために実験を行った結果は, 次のように要約される. 1.H型集団とC型集団の分化は, 開花開始日や100粒重の繁殖成長に関する形質に表われ, 栄養成長に関する形質では, 明確でなかった. すなわち, H型集団が, C型集団より, 早く開花し大きい種子をつけた. H型集団のこのような特性が過密集団における適応戦略の上で, どのような役割を果たしているのか今後検討する. 2.100cm^2のポットに10, 100, 1000粒を播種し, 生活史に関する特性についてH型とC型集団を比較した. (1)10粒区は, 死亡する個体はなく, 100粒区でほぼ90%の個体が生存した. (2)個体当たり乾物重は, H型集団がC型集団より小さかった. (3)100粒重は, H型集団がC型集団より大きかった. 個体当たりさや数, さや当たり種子数は, いずれも, H型集団がC型集団より低かった. (4)結実率には, 集団間に差異がなかった. 3.圃場に, 10000粒/m^2で播種し, 生存率を調査した. H型集団は, 早い時期に死亡率が高い傾向があり, 生存率が, C型集団より低い傾向にあった. 4.種子サイズと他形質との関連を調査した. (1)種子サイズと発芽速度は, 正の相関関係が観察されたが, その程度は, H型集団で低く, C型集団は, 顕著であった. (2)子葉の大きさとは, 正の高い相関関数が観察され, 集団間差はなかった. (3)個体サイズとは, H型集団でのみ, 正の相関関数が観察された.
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