Research Abstract |
植物ホルモンによるイネ科作物の分げつ制御を解明することを目的とした. 特に, 刈取りという操作を中心に考え, 残部刈株中に存在するえき芽の伸長を内生植物ホルモンとの関係で検討した. 一般に, 双子葉植物における頂芽優性と側芽伸長の関係の研究は多くみられるが, イネ科作物においてはきわめて少ないのが現状である. 分げつ(茎数)の制御は, 地上部重のみならず子実収量の制御の可能生をも含んでいる. 第1実験:少げつ型ソルガムを供試し, 地上部高さ1mの所で, 頂端部を除去し, 各節からの側芽の伸長とそれら節中のIAA, ABA量を測定した. その結果, 上位節ほどえき芽の伸長は良かった. IAA量は, 下位節で1.4mg1Fwgであり, 上位節はその約1/7であった. 除去数1日目, 3日目では含有量はそれぞれ約37%, 約85%減少し著しく少なくなった. ABA量は, 下位節で著しく高く:106ng/Fwgで, 上位節・中位節ではその約1/3であった. 1日目で約82%減少した. したがって, 頂端部除去後, 節中のIAA, ABA量の減少によって, えき芽の伸長が開始され又, 下位節ほどIAA, ABA量は多く, 伸長は抑制されるものと思われた. 第2実験:えき芽中のABA量を測定した. 刈取りは地上部10cmで行った. えき芽の伸長は上位芽で良かった. 調査個体中(81芽)の伸長した芽の割合は上位芽で約80%, 下位芽で約40%であった. ABA量の推移は, 伸長芽で上位芽, 下位芽とも刈取後, 急速に減少した. 一方, 静止芽では, 上位芽, 下位芽とも伸長芽より含有量は多く, 特に下位芽で多かった. 以上, 第1, 第2実験より, 刈取前, 茎中のIAA, ABA, えき芽中のABA量は高く, 伸長は抑えられ, 刈取後急激に減少し, えき芽は伸長を開始するものと思われた. 又, 静止芽は, ABA量が高く, 伸長開始が遅れるものと思われた.
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