Research Abstract |
1.日本, 中国及びタイ原産のカキ属植物を収集し, 現在育成中である. 2.上記カキ属植物のうち, カキ種について226品種の形態形質を数量化し, 数量化理論第3類による多変量解析を大型コンピュータを用い行った. その結果, '次郎'群, '富有'群, '御所'群及び'西条'群など主要経済品種群は明らかに, 他の品種とは異った品種群として座標上位置した. また, 中国, 韓国, 台湾原産のカキ品種は2品種を除き, ほぼ同一の一大集団化したグループ内に位置した. このことは, カキ属のうちカキ品種の類縁関係及び系統分化を論ずる上で貴重な基礎資料となると考えられた. 3.分類指標の1つとしてあげていたアイソザイム分析は, 葉を材料としてエステラーゼ, 6-フォスホグルコネートデハイドロゲナーゼ, パーオキシターゼ, フォスホグルコムターゼ等について検討した. その結果, 上記4酵素については明瞭にカキ属種間及び品種間でバンドパターンに差異が認められ, その分析条件は, パーオキシダーゼでは完全展葉したもの, その外の酵素では展葉直前の材料で最も良い結果が得られることが明らかとなった. 従ってアイソザム分析結果も分類指標の1つとして十分有用できるものと考えられた. 4.葉及び果実の表面構造の詳細な観察・比較については樹脂乞埋作製装置を用い, 現在顕微鏡観察試料の作製過程に入っている. 5.葉内可溶性タンパク質中のフラクションイプロティン(F1P)の抽出方法については, 未だ確立できず, F1Pによる1で述べた日本, 中国及びタイ原産カキ属植物の類縁関係を明らかにするには至らなかった. 早急にこの点に注目し, 抽出方法を確立すべく, カキ特有のタンニンその外の夾雑物質の除去, タンパクの精製濃縮について技術検討し, 63年度実験計画に資する技術確立を行う予定である.
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