1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560021
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
弦間 洋 筑波大学, 農林学系, 講師 (70094406)
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Keywords | カキ属 / 系統分比 / 類縁関係 / 形態形質 / 多変量解析 / 茎頂培養 / 走査型電子顕微鏡観察 |
Research Abstract |
1.カキ属植物のうち、カキ(Diospyros Kaki)、マメガキ(D.lotus)、アブラガキ(D.olcifera)、ラオヤーシー(D.rlrombifolia)を用い、茎頂を試料とし、試験管培養を試みたところ、カキ及びマメガキでシュート形成が認められたのに対し、後二者では全くシュート形成個体が得られなかった。カキ種内においても変異があり、台湾正柿で最も良くシュート形成した。マメガキのシュート形成率は極めて高く、増殖性の面から分類指標の可能性が示唆された。 2.子房及び果実表面の毛じの有無あるいはその形状について、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。用いた種は、カキ、マメガキ、アブラガキ及びアメリカガキ(D.virgiuiana)であり、カキ種のうち品種として日本産及び韓国産品種を含めて15品種を用いた。その結果、毛じの状態には種及び品種間に明らかに差異が認められた。最も特徴があったのはアブラガキで子房全体が毛じで覆われていた。アメリカガキとマメガキは、ほとんど毛じが認められず、一方カキでは品種間にかなりの変異があることが判明した。すなわち、毛じのほとんど認められない品種として西条、やや認められるものに富有、ツルノコ、夫婦柿等があった。既往の報告によれば、野性柿に毛じが多いとされていることから考え併せると、これらの毛じに関する形質の変異は品種系統分比の過程で生じたものと思われた。韓国産品種内では、盤柿に全く毛じが認められず、その外の品種においては毛じが存在していたことから、品種の地理的分布との関係は明らかにし得なかった。 3.当初計画の大きな目的であるタンパク分析が、その手法の未確立から、ほとんど適当な資料を得られておらず、現在鋭意検討中である。
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