Research Abstract |
前年度までの調査で, 急激な温度上昇に伴って, 青果物の呼吸強度に一時的過上昇現象がみられることを明らかにしてきた. そこで, 62年度には青果物の種類間比較を主目的にして体系的に調査を進め, あわせて過上昇現象の機構についても若干の考察を試みた. 1.種類間比較:材料として各種青果物を用い, 昇温時間3時間で5°Cから35°Cまでの直線的昇温を行い, その間の酸素吸収量と炭酸ガス排出量の変化を, 自作のマイコン制御によるガス代謝自動計測装置を用いて連続的に自動計測した. その結果, 過上昇は青果物の種類によって明らかに相違することが確認されたが, 從来の結果も含めて分類すると次のとおりである. 呼吸の過上昇が明確に認められるもの:ナス, キュウリ, カリフラワー, ブロッコリー, ホウレンソウ, トマト, ピーマン 過上昇が認められるが小さいもの:モモ, ウメ, ミカン, トウモロコシ, サツマイモ, ジャガイモ, レタス, タマネギ, アスパラガス 過上昇がほとんど認められないもの:ニンジン, キャベツ, ブドウ, リンゴ, カキ, ナシ, メロン, カボチャ 2.過上昇現象の機構についての考察:呼吸強度とともに, エチレン排出量の変化も自動計測した. モモ, リンゴ, トマト成熟果では一時的に急増したがやがて元のレベルにまで低下し, その他のものでは終始発生はみられなかった. このことから, 呼吸の過上昇とエチレン発生との間には関係はないように思われた. ナスとニンジンでATP含量の変化を調査したところ, 過上昇がみられたナスで呼吸強度とよく対応した一時的増加が認められた. 有機酸組成の変化は, 過上昇にかかわらずほとんどみられなかった. このようなことを総合して, 呼吸の過上昇はやはり生理的なものと判断するのが妥当なようにも思われた.
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