1987 Fiscal Year Annual Research Report
カキの果実形態・品質変異の解析とその人為的制御に関する研究
Project/Area Number |
62560031
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
長谷川 耕二郎 高知大学, 農学部, 助教授 (80026616)
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Keywords | 樹冠結果部位 / 遅れ花果 / 種子 / 果形指数 / 果頂裂果 / 側溝 / GA / KT-30 |
Research Abstract |
前川次郎及び西条の果実形態や品質変異の実態を開花の早晩, 樹冠の位置, 受粉条件の面から調査し, これら要因の関わりを検討した. 前川次郎では正常な花に比べて開花が10日以上も遅い遅れ花果は奇形果が多く, 果実肥大及び果色も劣った. 遅れ花果は縦径が小さく, 果形指数が大となり, 果形が偏平であったが果頂裂果幅や側溝は正常果と差異がなかった. 前川次郎の樹冠結果部位を上部と下部に区分し, 自然受粉と無受粉の条件を組合わせた4処理区の果実を比較した. さらに, 樹冠の上部, 下部各々につき, 外側(中心部より樹冠幅の半径2分の1外側)と内側(半径2分の1の内側)に結果している果実に区分して果実品質を調査した. 樹冠外側上部の果実の果色及び糖度が他の部位の果実に比べ良好な値を示した反面, 果頂裂果幅は大きくなった. 外側上部での照度(%)は他の部位に比べて高く, とりわけ果頂部が受光面になる場合, 果頂裂果を激化したと考えられる. 側溝は0.2〜1.7mmの範囲で変異が大きかったが平均すると約0.5mmで結果部位による差はみられなかった. 無受粉区の果実は受粉区に比べて果色が不良で糖度も低かったが, 果頂裂果はわずかであった. これは無種子のため果頂部が窪み, き裂が防止されたと考えられる. 有種子果では種子が多くなるほど果頂裂果幅が大きくなった. 果色, 糖度も各々果頂裂果幅と有意な正の相関関係を示した. 種子が多いほど果色, 糖度は良好となり, 果実は大きくなった. 西条でも受粉による有種子果は無受粉のものに比べ結果が良好となり, 果実が大きく, 果形指数も大きい果実となった. 西条ではGA及びKT-30の開花後10日の処理により果実の初期肥大を促進し, とくにKT-30では縦径を大きくした. 次年度ではこれら植物ホルモンの処理時期を変えて, 果実形態, 品質変異の人為的制御について詳しい調査を行なう予定である.
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