1988 Fiscal Year Annual Research Report
Mycosphaerella属植物病原菌の宿主特異性決定因子に関する研究
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62560044
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
白石 友紀 岡山大学, 農学部, 助教授 (10033268)
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Keywords | 宿主特異性決定因子 / 抵抗性抑制因子 / ファイトアレキシン / エンドウ褐紋病菌 / キク花腐病菌 |
Research Abstract |
前年度の研究に引きつずき、本年もエンドウ褐紋病菌(My.pinodes)柄胞子発芽液中に生産される抵抗性抑制因子の純化を試みた。前年の方法を改良した点はイオン交換剤Seppak-QMAをAmberlite-XAD8を変えた点である。これによって、抑制因子に無機イオンが混入する問題を解決した。実際の操作は、大量に回収した発芽液低分子分画にAmberliteを2-3%(W/V)加え今後した後樹脂を回収した。樹脂を70%MeOHで数回洗浄することによって活性部を得ることが出来た。この画分をAvicel-TLCで分画した結果、Rf=0.56にニンヒドリン陽性の活性部が認められた。この画分をさらに分子ふるいHPLC(YMC-diol,H_2O,1m1/min)により分画した結果、保持時間14.5、17、29分に活性が認められた。現在、これらの活性部を大量に調製しているところである。別に、キク花腐病菌の宿主特異性決定因子の検索を行った。既報の様にして低分子分画を回収し、これをキクに全く病原性のないエンドウ褐紋病菌に混合してキク花弁に接種した結果、感染の成立・病徴の形成が認められた。水対照区や褐紋病菌の抑制因子ではこのような効果はなかった。また、低分子分画を混合したAlternaria alternataを他種の植物に接種しても感染は認められないことから、花腐病菌の柄胞子発芽液中には本菌の宿主特異性を担う物質の存在が示唆された。現在、この因子についても精製を試みている。前述の抑制因子の感染の現場における意義を調べる目的で、褐紋病菌柄胞子懸濁液を実際にエンドウ葉に接種した後接種液を回収し、本液のピサチン(エンドウのファイトアレキシン)蓄積抑制活性を測定した。この結果、接種0時間の回収液においても、エリシター処理で誘導されるピサチンの蓄積を50%、6-9時間には100%抑制した。また、この発芽液原液をキク花腐病菌に混ぜるとエンドウに感染を果たすようになった。以上の結果は、感染現場における抑制因子の重要性を示しており、現在さらに感染初期の作用機作について検討している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Nelson,;T.Shiraishi,;H.Oku.: J.Phytopathology. 55. (1989)
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[Publications] N.Nelson,;T.Shiraishi,;H.Oku.: Ann.Phytopath.Soc.Japan. 55. (1989)
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[Publications] T.Shiraishi,et al.: Ann.Phytopath.Soc.Japan.
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[Publications] T.Yamada,;H.Hashimoto,;T.Shiraishi,;H.Oku.: Molecular Plant-Microbe Interaction.
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[Publications] T.Shiraishi,et al.phytoalexin of pea plant: Physiol.& Mol.Plant Pathol.
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[Publications] T.Yamada,;T.Hiramoto,;R.Tobimatsu,;T.Shiraishi,;H.Oku.: J.Phytopathology.