1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560053
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
木村 光雄 三重大学, 教育学部, 教授 (40020177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 慶昭 滋賀県立短期大学, 工業化学科, 助教授 (60074069)
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Keywords | 野蚕絹 / 柞蚕絹 / 酸性染料 / 反応分散染料 / 等温吸着平衡 / 標準親和力 / 等温初期吸着速度 / 酸化染色 |
Research Abstract |
野蚕絹のうち, 主として柞蚕絹を使用し, 通常の精練を行なった糸について検討を行なった. 1.まず, 染着機構に関する検討を行う為, 酸性染料, 反応分散染料及び分散染料の中から代表的なものを選び, それぞれの等温吸着平衡を測定した. さらに, 吸着量の時間変化を吸着開始から数分以内の初期吸着速度と2時間以内の吸着速度に分けて測定し, それぞれ家蚕絹の場合と比較した. 得られた結果のうち, 例えば等温平衡吸着量についてはいずれの染料の場合も, 柞蚕絹は家蚕絹より若干小さな値を与え, これらの値から算出した標準親和力も僅かに小さな値を与えた. しかし, 標準親和力の温度変化(50〜70°C)から求めた吸着熱の値は分散染料の場合柞蚕絹の方が大となった. さらに, いずれの染料の場合も染色開始から数分以内の初期においては柞蚕絹の方が大きな吸着速度を与えるが, 2時間迄の吸着では家蚕絹の方がより大となる傾向を有していることが認められた. これらの結果を考察すると, 柞蚕絹の繊維の非晶領域構造は家蚕絹繊維のそれと比較して, 入口附近がやゝ粗であって, 内部は逆に蜜になっているのであると推定される. 従って, 染料分子の内部拡散速度が小さく平衡吸着も小となるのであろう. 2.また, 堅ろうな濃色染めを得る方法として, 既開発の多環型金属錯塩染料の他に, アニリンブラック他の酸化染料とナフトール染料または反応染料等と併用することを試みた. その結果, 酸化染料との併用の場合は酸化染料の発色を妨げないものでしかも色調の相乗効果を期待し得るようなものを選ぶことによって極めて良好な結果が得られることを知った.
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