1988 Fiscal Year Annual Research Report
家蚕幼虫消化液プロテアーゼによるB.thuringiensis結晶性毒素の溶解
Project/Area Number |
62560054
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University Junior College |
Principal Investigator |
関 武純 西南女学院短期大学, 家政科, 教授 (80085670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 一紀 西南女学院短期大学, 食物栄養科, 教授 (30085659)
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Keywords | Bocillus thuringiensis結晶性毒素 / 家蚕幼虫消化液プロテアーゼ / プロテアーゼによる結晶性毒素の溶解 |
Research Abstract |
筆者らは、家蚕の卒倒病病原菌であるB.thuringiensisの産生する結晶性毒素を限定分解する家蚕幼虫消化液プロテアーゼとして、SWプロテアーゼAを分離、精製した。その研究の中で、家蚕幼虫消化液には数種類のプロテアーゼが存在することに気付き、その一部として先ずSWプロテアーゼKを分離・精製した。本酵素は分子量12,000でセリンプロテアーゼに属するものと考えられた。更に詳しくその性状を検討した結果、本酵素はトリプシン様活性を有することが認められ、SWプロテアーゼKtと名付けた。これとは別にキモトリプシン様活性を有するプロテアーゼの存在が認められ分離を行ない、その性状について検討した。このものは、合成基質BTEEをよく分解し、DFP、TPCKにより活性が著るしく阻害されることが確認され、SWプロテアーゼKcと名付けた。このものの分量は19,300であり、先に分離、精製されたSWプロテアーゼKtよりは大きく、別種のものであることが明らかにされた。以上のごとく、家蚕幼虫消化液からトリプシン様活性を示すSWプロテアーゼKtと、キモトリプシン様活性を示すSWプロテアーゼKcの2種類のプロテアーゼを分離した。 従来、結晶性毒素の溶解に用いていたSWプロテアーゼAの中に、SWプロテアーゼKt(SWプロテアーゼK)とSWプロテアーゼKcとが存在することが示された。筆者らは、結晶性毒素をSWプロテアーゼAで溶解して、分子量66,000の毒素タンパク質を得ているわけであるが、今回の研究結果より、SWプロテアーゼKtおよびSWプロテアーゼKcの、結晶性毒素の溶解について比較検討することが必要となった。今後、このことを明らかにしていく所存である。
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