1987 Fiscal Year Annual Research Report
植物珪酸体分析による非火山灰土壌の植生経歴究明に関する研究
Project/Area Number |
62560056
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
近藤 錬三 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (30003106)
|
Keywords | 植物珪酸体分析 / 植生因子 / 非シネ科起源珪酸体 / 樹木起源珪酸体 / イネ科植物起源 / 樹木起源珪酸体比 |
Research Abstract |
土壌生成に及ぼす植生因子の役割を明らかにすることを目的に, 植生と土壌間の相互関係を植物珪酸体分析によって検討した. 本年度は, 北海道, 東北, 近畿, 四国・中国地方の非火山灰土壌表層から植物珪酸体を分離し, それらの珪酸体集団中の非イネ科植物起源珪酸体の比率およびイネ科植物起源/樹木起源珪酸体比について調べた. また, 植物から分離しした植物珪酸体について, 化学性, 溶解性および安定生について一部検討した. 1)土壌地上部の植生と表層(A層, 一部Aooを含む)から分離した植物珪酸体集団との間には, 比較的明瞭な対応関係か見られた. すなわち, ポドソル性土からはトドマツ・エゾマツ起源珪酸体, 黄色土および褐色森林土からはスダジイ, タブ, 常緑ガシ類, イスノキなどの照葉樹林起源およびブナ, 落葉ガシ起源珪酸体が多く確認された. このことから, 供試土壌が樹木にかなり影響を受けていたことが推測された. 2)地上部の植生が樹木類で優占されると, 土壌から分離した植物珪酸体集団の樹木起源珪酸体は少なくとも全植物珪酸体の10%以上を占め, イネ科植物起源/樹木起源珪酸体比も5以下になることが明らかにされた. 極相林の場合は, 樹木珪酸体が全植物珪酸体の30%以上, イネ科植物起源/樹木起源珪酸体比は1以下であった. 人間の営力がかなり影響しているアカマツ林下の土壌は, アカマツ起源珪酸体も含むが, イネ科植物起源珪酸体の比率が極めて高い. 3)酸およびアルカリに対する溶解実験では, 植物種によって溶解性に差が認められたが, さらに樹木起源珪酸体はじめ多くの試料を加えて検討しなければならない.
|