1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560059
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
嶋田 典司 千葉大学, 園芸学部, 教授 (10009318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 幸雄 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (90114347)
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Keywords | ニッケルの生理作用 / 植物中のニッケル / ウレアーゼ / 蛇紋岩土壌 |
Research Abstract |
本研究においては高等植物におけるニッケルの生理作用を究明することを目的として, まずニッケルを含む金属酵素であるウレアーゼの活性発現の際における環境条件の影響について検討した. キュウリを供試作物とし, 超純水製造装置で十分に精製した水を用いた培養液で栽培した. その後微量のニッケルを添加して同時に温度・光条件を種々に変動させてキュウリ葉中におけるウレアーゼ活性の変化を調べた. その結果, 温度では30゜Cで高い方がウレアーゼ活性が高まり, 光強度ではやはり強い方が活性の高まりは大きかった. 培養液にニッケルと同時に蛋白合成阻害剤(シクロヘキシミド)を添加すると, 暗状態ではウレアーゼ活性はほとんど阻害されないが, 明状態では約40%の阻害されることがわかった. これらの結果より, アミノ酸の重合から始まり, ニッケルの導入によるウレアーゼ活性発現までの過程が光の存在に大きく影響されることが明らかになった. 一方, ニッケルは過剰に存在すると多くの植物は著しい生育障害を受けることが知られているが, ニッケルを多量に含有する蛇紋岩質土壌でも好んで生育する植物が存在する. そこで, そのような場合に特異的に存在する植物を採取してニッケル含量, ウレアーゼ活性を測定した. その結果, 蛇紋岩質土壌に生育する植物は, 隣接する玄武岩質土壌に生育する植物よりもニッケル含量およびウレアーゼ活性が著しく高いことがわかった. しかし, 土壌のニッケル含量とすべての植物中のウレアーゼ活性との間に相関はみられず, 植物の種間差の大きいことがわかった. そこで, 蛇紋岩質土壌で良好に生育しているジャノヒゲを用いてニッケル添加による水耕試験を行った. ニッケル耐性の大きくジャノヒゲはニッケルの移行率が小さく, さらに, 植物体内で繊維質の部分や不溶性の形態でその他の部分に存在していることが推定された.
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