1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560064
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
高木 浩 宮崎大学, 農学部, 助教授 (90094078)
|
Keywords | 亜鉛欠乏植物 / ジベレリン |
Research Abstract |
トウモロコシ幼植物などの典型的な亜鉛欠乏症状は, 茎の伸長阻害である. この現象の発現機構を究明し, 高等植物における亜鉛の生理機能の一つを明らかにすることが本研究の目的である. 高木の本年度までの実験結果によれば, 茎の伸長に関係が深いと考えられているインドール酢酸は, 亜鉛欠除区の植物体中においても, 正常に存在することが明らかになりつゝある. したがって, 茎の伸長生長に関与しているもう一つの植物ホルモンージベレリンーの動態について, 亜鉛栄養との関連で調べてみた. 方法:トウモロコシ幼植物を供試し, 水耕法により, 亜鉛欠除区, 亜鉛欠乏を発現させておいたものに, 亜鉛添加(Zn0.1ppm)を行い, 急激な茎伸長区および正常区の計3区を設けた. 経時的にサンプリングし, それぞれについて, 酢酸メチル抽出を行い, 粗ジベレリン様物質を得, "タンギンボウズ試験法"によって, ジベレリン様物質の量を算出し, 亜鉛栄養との関連を検討した. また, カルス化・再分化の各過程と亜鉛ジベレリンとの関連を調べた. 結果と考察:1."タンギンボウズ試験法"によって, (1)亜鉛欠除区トウモロコシ中には, ジベレリン様物質の活性がほとんど認められないこと. (2)亜鉛添加で, 茎の伸長が急に回復したものには, 再びジベレリン様物質の活性が現われることなどの現象を確認した. 目下, 主としてガスクロマトグラフィーを応用して, ジベレリン様物質の化学的諸性質を究明中である. 2.茎頂部のカルス化には特に亜鉛が重要な因子であることを示唆する結果が得られた. また, カルスからの再分化過程には, ジベレリンが深く関与していることが判明した. 今後の研究の展開:供試材料を各種幼植物に限らないで, それから得られる茎頂や培養細胞(カルスなど)にまで広げて研究を進めたい.
|