1988 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質アルギニン脱イミノ酵素によるクロマチン蛋白質の修飾と遺伝子発現調節
Project/Area Number |
62560070
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
菅原 潔 茨城大学, 農学部, 教授 (40007662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 英成 茨城大学, 農学部, 助教授 (30122063)
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Keywords | シトルリンの定量 / アルギニン残基の修飾 / ペプチジルアルギニンデイミナーゼ / HMG1 / HMG2 |
Research Abstract |
〔目的〕蛋白質アルギニン脱イミノ酵素Peptidyla rginine deiminaseは、ペプチド鎖中のアルギニン残基をシトルリン残基に変換し、蛋白質の正電荷を消失させ、蛋白質分子間、或いは蛋白質と核酸等他の生体成分との相互作用に影響を及ぼすことが考えられる。また、生体にはアルギニン残基を活性中心とする酵素をはじめ生理活性蛋白質も多いことから、生体制御への関与等多様な生理的機能が推測される。本酵素は核に於てはクロマチン結合性であることもあって、以上の事を背景に遺伝子発現の制御に関与すると言われる非ヒストンクロマチン蛋白質HMG1及びHMG2に対する修飾と、修飾によるDNAに対する機能変化について検討した。 〔結果〕まず本酵素反応生成物であるシトルリン残基を微量で正確、かつ迅速に定量する方法について検討した。その結果、修飾蛋白質を6NHClで150℃、1時間水解後、PTCアミノ酸とした後、ODSカラム(4.6×250mm)を用いるHPLCの適用により、1Pmolの感度でシトルリンを含むアミノ酸の分離定量が可能となった。次にブタ胸腺よりHMG1及びHMG2を抽出し、MonoQHR5/5カラムにより精製し、本酵素により修飾を行ない、DNAに対する機能変化について検討した。方法としてはトポイソメラーゼ1により弛緩したplasmid pBR322のHMG1又はHMG2の結合による負のSuperhelix構造の増大能を電気泳動での移動度から観察した。その結果HMG1は修飾(Arg3残基/8残基)によりDNA Superhelix構造の負への巻き戻し活性が低下し、HMG2(Arg1.6mol%/4.3mol%)については影響がより顕著であった。一方、修飾HMGのDNA1本鎖部分への特異的結合能の変化をSNヌクレアーゼによる1本鎖DNAの作用から調べた結果、この巻き戻し活性の低下は、DNAへの結合能の低下によるものでないことが判った。以上のことから本酵素の遺伝子発現制御への関与が推測された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Uchida;H.Takahara;k.Sugawara: Agric.Biol.Chem.(1989)
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[Publications] H.Uchida;H.Takahara;k.Sugawara: J.Biochem. (1989)
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[Publications] 内田博之,高原英成,吉田充輝,菅原潔: 平成元年度日本農芸化学会大会講演要旨 日本農芸化学会誌. 63. (1989)