1987 Fiscal Year Annual Research Report
新しい蛋白質修飾酵素, ペプチジルアルギニンデイミナーゼの活性中心構造の解明
Project/Area Number |
62560071
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
高原 英成 茨城大学, 農学部, 助手 (30122063)
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Keywords | ペプチジルアルギニンデイミナーゼ / 活性中心構造 / 活性中心の化学修飾 |
Research Abstract |
ペプチジルアルギニンデイミナーゼ(EC3.5.3.15)はCa^<2+>の存在下においてペプチド鎖中のArgの残基を脱イミノしCit残基に変換する新しい蛋白質修飾酵素である. 本研究ではこの酵素の活性中心構造に関し幾つかの新しい知見を得たので報告する. 1.活性中心に対する特異的修飾試薬の選択:マウス骨格筋由来の精製酵素を用い, まず活性中心として可能性のあるアミノ酸残基それぞれを各種の試薬で修飾した. その結果, CyS残基(iodoacetamide,以下IAAと略す), His残基(diethylpyrocarbonate)およびTrp残基(N-bromasuccinimide)修飾試薬によって本酵素は著しく活性が低下した. 修飾反応が活性中心に特異的である場合, その反応は基質によって妨害される. よって本研究でもこの点を検討したところ, IAAによる不活性化反応は基質(BZ-Arg-OEt)によって妨害され, それはCa^<2+>の存在下においてのみ完全であった. 他の試薬ではこのような妨害作用は受けなかった. また, 各種のArg誘導体の内妨害効果が高かったのはX-Arg-Y型の基質であり, これは本酵素の基質特異性と一致した. このような結果からIAAは本酵素の活性中心残基を特異的に修飾すると判断した. 2.IAAによる不活性化反応の速度論的解析:本酵素に対するIAAの不活性化反応はpH6以上で認められ, その速度はpH6-7の間においてほぼ一定であり反応は偽一次的に進行した. しかし, pH7以上の条件ではその反応はより急速となるとともに速い反応と遅い反応の二相性を示した. pH6およびpH8における不活性化反応の速度論的解析結果, pH8で見られる速い反応の二次反応速度定数は, pH6での反応の約10倍と算出されたが, 一方の遅い反応のそれはpH6での反応とほぼ同じであった. 以上の結果より, 本酵素の活性中心部位にpK値およびIAAに対する反応性の異なる複数の活性残基が存在すると判断した. 昭和63年度は, これらの活性残基の同定および同残基近傍一次構造を解明する予定.
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Research Products
(1 results)