1988 Fiscal Year Annual Research Report
新しい蛋白質修飾酵素、ペプチジルアルギニンデイミナーゼの活性中心構造の解明
Project/Area Number |
62560071
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
高原 英成 茨城大学, 農学部, 助教授 (30122063)
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Keywords | ペプチジルアルギニンデイミナーゼ / 活性中心構造 / 活性中心の化学修飾 / ヨードアセトアミドによる活性中心システイン残基の修飾 |
Research Abstract |
ペプチジルアルギニンデイミナーゼ(以下PADaseと略記)はCa^<2+>の存在下において蛋白質のArg残基を脱イミノレCit残基に変換する新しい蛋白質修飾酵素である。本研究はPADaseの活性中心構造を明らかにすることを目的として行った。前年度の研究で筆者らは、マウス骨格筋由来のPADaseがiodoacetamide(以下IAAと略記)により迅速に失活することを見出すと共に同試薬による不活性反応が本酵素の活性中心のCys残基に特異的であることを証明した。またその反応の反応動力学的解析も行った。本年度は、上記PADaseの活性中心Cys残基を 〔1-^<14>C〕IAAで標識後蛋白質化学的手法を用いて活性中心残基を含むペプチドを分画精製しその一次構造を解析した。まず、本酵素をpH8条件下でほぼ100%不活性化した場合酵素1分子当り2分子の 〔1-^<14>C〕IAAが反応すること、またこの修飾酵素のアミノ酸分析により分子全体で8残基存在するCys残基のうち2残基が修飾されることを明らかにした。ついで、上記 〔1-^<14>C〕IAA標識酵素を還元カルボキサミドメチル化し、臭化シアンによる断片化後、セフアデックスG-50のデル濾過法により分画を行った結果、約7KDaと2KDaの2つのペプチドに放射活性を認めた。両ペプチドをさらにリシルエンドペプチダーゼ消化による限定分解後、Asahipak ODP-50逆相系HPLCによるペプチドマップにより標識ペプチドを検索したところ、上記ペプチドよりそれぞれ1個ずつの放射活性を持つペプチド(FI-P9,FII-P8)が得られた。FI-P9はAlaをN-末端、LysをC-末端とする25のアミノ酸からなり、その一次構造はAla-Ser-Trp-Thr-Trp-Gly-Pro-Asn-Gly-<Cys>^^^<cm>-----Lysであった。またFII-P8はThrをN-末端、MetをC-末端とする29のアミノ酸からなり、その一次構造はThr-Pro-Asn-Lle-Leu-Pro-Pro-Val-Ser-Val-Val----Metであった。FI-P9は1残基のカルボキサミドメチルCys残基を含むことから同残基が活性中心残基の一つであることは間違いないものと思われる。
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Research Products
(1 results)