1988 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌の悍菌形態形成に必須な蛋白質RodAの構造と機能
Project/Area Number |
62560072
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
松澤 洋 東京大学, 農学部, 助教授 (00011966)
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Keywords | 大腸菌 / 桿菌形態 / 細胞分裂 / ペプチドグリカン合成酵素 / rodA遺伝子 / RodAタンパク質 / 細胞質膜貫通構造 / 遺伝子工学 |
Research Abstract |
本研究においては、タンパク質化学と遺伝子工学の手法によりRodAタンパク質の構造解析を行い、RodAタンパク質が大腸菌の細胞分裂に関与することを明らかにした。 1.rodA遺伝子はpbpA遺伝子の終止コドンから2塩基おいたATGを開始コドンとし、1,110塩基(370アミノ酸をコードする)から成ることが分かった。また、RodAタンパク質のN末端15残基のアミノ酸配列を調べた結果、RodAタンパク質は切断されるシグナル配列を持たないが、N末端のMetは切断されることが分かった。 2.RodAタンパク質の細胞質膜上での膜貫通構造を明らかにするため、RodAタンパク質のN末端とβ-ラクタマーゼとの融合タンパク質をコードする種々の融合遺伝子を作成した。融合部位近傍の疎水性度と融合タンパク質を生産する大腸菌のアンピシリン耐性の強さから、融合部位の残基の局在性を判定した。その結果、RodAタンパク質はN末端とC末端を細胞質側にし、8回細胞質膜を貫く構造をしていることが分かった。 3.sui変異はPBP3の温度感受性致死変異ftsl(Ts)をサプレイスするrodA遺伝子内の変異である。rodA(sui)遺伝子をクローニングし、塩基配列を決定したところ、sui変異はRodAタンパク質のGlnlllコドンCAGがamber終止コドンUAGへ変異したものであることが分かった。ftsl(Ts),suiの二重変異株KJBlはamber変異をGlnに置換するサプレッサーtRNA(supE)を持っていので、sui変異の一部はもとのGlnlllとして翻訳されているはずである。従って、sui変異によるRodAタンパク質の量の減少がPBP3活性の減少をサプレイスしていると考えられ、RodAタンパク質は(おそらくRodA-PBP2総体として)PBP3と共に細胞の成長と分裂に関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)