1989 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の異物認識機構および抵抗反応に関する生化学的研究
Project/Area Number |
62560077
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小島 峯雄 名古屋大学, 農学部, 助教授 (30023469)
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Keywords | フィトアレキシン / Ceratocystis fimbriata / 過酸化脂質 / クロロゲン酸 / 水酸化酵素 / Hydroxycinnamoyl-D-glucose / Agrobacterium tumefaciens / Crown Gall |
Research Abstract |
1.黒斑病菌感染サトイモ中に生成されるワイトアレキシンについての研究 黒斑病菌(Ceratocystis fimbriata)に感染したサトイモ中に抗菌物質が生成されることを見いだし、その1つを9、12、13-trihydroxy-(E)-10-octadecenoic acidと同定した。本物質はその構造からlinolenic acidかlinleic acidが過酸化反応を受けて生成したものと推定される。そこで、本物質生成代謝系の酵素活性の変動を調べた。サトイモに親性菌と非親和性菌のいずれを接種した場合にも過酸化脂質が蓄積し、それに対応して、phosphalipase A_2とlipoxygenaseの活性が同じように増大した。また、脂肪酸の過酸化物の毒性に対して、非親和性菌の方が親和性菌よりもより高い感受性を示した。これらの結果より、サトイモと黒斑病菌の感染系において、宿主の脂肪の過酸化反応が宿主の抵抗反応の重要な部分を構成しているものと考えられる。 2.クロロゲン酸の生合成についての研究 クロロゲン酸は植物界で最も普遍的ポリフェノ-ルの1つである。我々はこのクロロゲン酸の生合成経路を提出している。その経路の1つのステップであるp-Coumaroyl-D-glucoseをcaffeoyl-D-glucoseに水酸化する水酸化酵素をサツマイモ中に見いだし、電気泳動的に均一にまで精製した。この精製標品を用いてその酵素学的諸性質を明らかにした。 3.Agrobacterium tumefaciens Agrobacterium tumefaciensをニンジン切片に接種後22℃インキュベ-トするとゴ-ルが形成されるが、33℃インキュベ-トすると全くゴ-ルが出現しない。この系を用いて、本菌中に存在し、ゴ-ル形成を引き起こすTi-plasmidの宿主への転移に関係すると想定される外膜タンパク質を同定した。本タンパク質は94KDaおよび76KDaの分子量をもつ。
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[Publications] Takeuchi,W.: "Non-enzymatic Hydroxylation of(E)-p-Coumaric Acid to(E)-Caffeic Acid" Agric.Biol.Chem.53. 2267-2268 (1989)
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[Publications] Masui,H.: "An Antifungal Compound,9,12,13-Trihydroxy-(E)-10-Octadecenoic Acid from Colocasia antiquorum Inoculated with Ceratocystis fimbriata" Phytochemistry. 28. 2613-2615 (1989)
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[Publications] Masui,H.: "Lipid Peroxidation and Its Role in Taro Tubers Infected by Ceratocystis fimbriata" Agric.Biol.Chem.