1988 Fiscal Year Annual Research Report
光合成遺伝子の発現を調節する光応答蛋白質に関する研究
Project/Area Number |
62560082
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 幸子 京都大学, 農学部, 助手 (00026519)
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Keywords | 光合成遺伝子 / 葉緑体遺伝子 / エンドウ / 作用スペクトル / フィトクローム |
Research Abstract |
昨年度の結果より、光応答蛋白質の候補と考えられる2つの遺伝子群が指摘された。その一つはリボゾーム蛋白をコードする遺伝子群が、他の一つはpetAをコードする遺伝子群である。本年度はエンドウのこの遺伝子を再クローン化して、一部その配列を決定した。 その配列にはタバコORF512と相同な配列がみつかり、この配列にはDNA結合ドメインと考えられるZnフィンガー配列があった。まずこのDNAがコードする蛋白を光応答蛋白の第一候補とした。そしてこのDNAが発現しているか、抗体を作成して、抗原抗体反応で確認した。抗体はタバコORF512の配列から親水性の高い配列を選び、オリゴペプチドを合成し、これにBSAをつけて、兎に注射し、ポリクローナル抗体を得た。一方では大腸菌の発現ベクターpRIT2TにDNAをつなぎ、大腸菌で生産後精製して、抗原とした。 タバコの葉より葉緑体を単離し、ストローマとチラコイドに分画し、ストローマ分画に上記の抗体反応するスポットを二次元電気泳動で確認した。 一方、光応答蛋白質を明らかにする目的で、遺伝子発現の作用スペクトルを測定した。従来遺伝子発現の光制御に関与するレセプターはフィトクロームであると言われていたが、本研究で初めて作用スペクトルを測定して、フィトクロームであることを同定した。葉緑体にコードされた遺伝子の発現を仲介しているレセプターも、その作用スペクトルはフィトクロームであると確認された。核にコードされた遺伝子と、葉緑体にコードされた遺伝子とに顕著な差はなく、光受容後、遺伝子発現に到る過程はそれ程多岐にわたっていないと推測された。
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[Publications] Y.Sasaki,;T.Kuroiwa: Plant Mol.Biol.11. 585-588 (1988)
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[Publications] Y.Sasaki,;K.Yoshida,;A.Takimoto: FEBS LETT. 239. 199-202 (1988)