1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560087
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
徳村 彰 徳島大学, 薬学部, 助手 (00035560)
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Keywords | 血小板活性化因子 / リン脂質の膜内移行 / PAFの代謝 / アルキルアシルグリセロホスホコリン / ウサギ血小板 / ビタミンE欠乏 / アセチルトランスフェラーゼ |
Research Abstract |
1.ビタミンE欠乏ラットの腹腔多形核白血球に40ng/mgあるいは 400ng/mgのα-トロフェロールを添加してもアセチルトランスフェラーゼ活性は抑制されなかった。 2.PAFの遊離機構の手がかり得るため、外因性PAFやそのリゾ体の膜内動態と代謝運命とを検討した。ウサギ血小板に添加したPAFは以下の過程を経て最終的にアルキルアシルグリセスホスホコリンに代謝されるものと思われる。(i)血小板形質膜の脂質がバルク相の脂質との混和、(ii)形質膜上のPAF受容体への結合、(iii) flip-flopよる膜内移行、(iv)アセチルヒドラーゼによるlysoPAFへの分解、(v)アシルトランスフェラーゼによるアルキルアシルグリセロホスホコリンへの代謝転換。 上述の過程の関連を明らかにするため、〔3H〕PAF、〔^3H〕lysoPAF、〔^3H〕methylPAFの三種のプローブを用いることにした。lysoPAFの場合は前述の(ii)と(iv)の過程の寄与を欠き、methylPAFの場合は(ii)、(iv)および(v)の過程を考慮する必要がないので、これらのプローブはPAFの膜内動態の解析に有用である。本研究で明らかとなった知見を以下に示す。(1)血小板が活性化されると、PAF:lysoPAFとmethylPAFの膜内移行速度が増大する。(2)これらリン脂質の膜内移行速度は温度依存性であるが、その添加両には依存しない。(3)PAFとlysoPAFの膜内移行の過程がこれらリン脂質のアルキルアシルグリセロホスホコリンへの代謝の律速段階である。以上の結果より、上述のリン脂質はまず、速やかに形質膜脂質バルク相に侵入し、ゆっくりとflip-flop拡散により膜内移行し効率良く代謝されるものと思われる。血小板が活性化されると、このflop部位の数が増加するものと思われる。このPAFの膜内移行の機構に及ぼす食餌性脂質(ビタミンE:コレステロール、リン脂質)の効果について、次に検討する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kenji Fukuzawa: Lipids. 24. (1989)
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[Publications] Akira Tokumura: Arch.Biochem,Biophys.