1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560088
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
船津 軍喜 九州大学, 農学部, 教授 (40038196)
|
Keywords | リシン / 毒タンパク質 / リポソーム / 膜透過機構 / 蛋白質-脂質相互作用 |
Research Abstract |
本研究はリシンの毒性発現過程におけるリシン分子のエンドソーム膜透過機構の解明を目的としたもので、本年度は以下の成果を得た。 1.リシンA鎖及びB鎖のDPPC-リポソームに対する結合侵入部位の検索 トリプシンで処理したA鎖-リポソーム複合体に残存するペプチドをFPLCで分離した結果、Ile-1〜,Phe-57〜,Glu-135〜,Phe-181〜から始まるペプチドが予想されたが、リポソームに結合するA鎖のトリプシン分解ペプチドを分析した結果、Phe-57〜Arg-85及びGlu-135〜Arg-166が固定されたことから、A鎖のDPPC-リポソーム結合侵入部位はGly-35〜Asn-47領域を含むC-末端領域であることが推定された。一方、サブチリシンで処理したB鎖-リポソーム複合体に残存するペプチドをゲル濾過及びHPLCによる分離した結果、その主成分はAla-t〜Asn-46であり、るB鎖のDPPC-リポソーム結合侵入部位はB鎖のN-末端領域であると結論した。 2.リポソーム不活化蛋白質/リシンB鎖ハイブリッド分子の細胞毒性 リシンA鎖と同作用を有するが、分子表面に疎水領域をもたない、ヘチマ及びアメリカヤマゴボウ種子のリボソーム不活化蛋白質とリシンB鎖をSPDPにより架橋したハイブリッド分子を作製し、HeLa細胞に対する毒性を調べた結果、いずれも毒性が発現しないことから、リシンの膜透過にはA鎖の分子表面の疎水領域を含む構造が大きく関与していることが推察された。 3.リシン及び構成ザブユニット分子表面疎水度 リシン及び単離したA鎖、B鎖分子の表面疎水度をシス-パリナリン酸を用いた蛍光法及びトリトンX-100との結合によって調べた結果、リシン分子表面には大きな疎水領域は存在しないが、単離したA鎖とB鎖には疎水領域が存在し、特にA鎖には大きな疎水領域が存在し、DPPC-リポソームまたは膜の脂質層との結合に大きく関与するものと推定した。
|
-
[Publications] Yamasaki,N;Nagase,Y;Funatsu,G.: Agric.Biol.Che.52. 1021-1026 (1988)
-
[Publications] Funatsu,G;Watanabe,K;Utsumi,T.: Agric.Biol.Chem.53. (1989)