1988 Fiscal Year Annual Research Report
エレクトロインジェクションによる植物細胞への遺伝子導入に関する研究
Project/Area Number |
62560100
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森川 弘道 京都大学, 農学部, 助教授 (00089129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 康之 京都大学, 農学部, 教授 (50026415)
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Keywords | エレクトロインジェクション / 遺伝子導入 / プラスミドDNA / 遺伝子発現 / プロトプラスト / 細胞壁 |
Research Abstract |
まず、植物組織細胞への遺伝子導入を研究した。ハイブリッドポプラの葉脈切片あるいはヒラナス下胚軸切片(いずれも厚さ300ー500um)は培養2日で茎葉を分化し始め2ー3月で完全な個体を再生することが予備実験により明らかとなっている。そこで、これらの組織片への電気パルスによる遺伝子導入について調べた。遺伝子としてはカナマイシン抵抗性遺伝子(pKR612b1)あるいはルシフェラーゼ遺伝子(pDO432)を用いた。これらプラスミドDNA存在下で組織片懸濁液に種々の条件の電気パルスを印加した。pKR612b1の導入を試みたハイブリッドポプラについては10ー50ug/mlのカナマイシン存在下で再生個体を得た。それら数個体についてはNPTII活性を調べたが、いずれもマイナスであった。また、pDO432の導入を試みたヒラナス下胚軸切片においてもルシフェラーゼ遺伝子のtransientな発現はいまのところ得られていない。 次に、タバコ培養細胞のプロトプラストを培養して、細胞壁を再生させた細胞(プロトプラスト由来細胞)を用いて遺伝子導入における細胞壁の阻害効果について調べた。遺伝子としてはCAT遺伝子をもつプラスミド(pUC8CaMVCAT)を用いた。まず、蛍光顕微鏡観察および走査型電子顕微鏡観察により本タバコプロトプラストは2日以上培養すると細胞壁を形成することまた培養12日では細胞壁の構造がより発達することが分かった。ドットおよびサザンハイブリダイゼーションによりプラスミドDNAの細胞内への取り込みを調べた結果、電気パルスによるその細胞内への"取り込み"は細胞壁の形成が進むと共に増加するとの結果が得られた。他方、CAT活性はプロトプラスト、培養2ー5日、および培養12日プロトプラスト由来細胞でそれぞれ100、10ー15および>3%であった。この結果からハイブリ実験により検出されたプラスミドDNAはおそらく細胞壁マトリックスに吸着されたものと推定された。
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[Publications] Morikawa,H.: Plant Cell Physiol.29. 189-193 (1988)
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[Publications] Morikawa,H.: Plant Cell Physiol.29. 659-664 (1988)
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[Publications] Morikawa,H.: Plant Cell Physiol.29. 1201-1206 (1988)
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[Publications] Morikawa,H.: Plant Tissue Culture Lett.5. 90-92 (1988)
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[Publications] Morikawa,H.: "Advances in Biotechnological Processes vol.9 Bioーtechnology in Agriculture" Alan R.Liss, 175-202 (1988)
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[Publications] Morikawa,H.: "Comprehensive Biotechnology" Pergamon press,