1987 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキノン生産酵素遺伝子のクローニングとその大腸菌における形質発現
Project/Area Number |
62560106
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
松田 英幸 島根大学, 農学部, 教授 (50032595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 忠洋 島根大学, 農学部, 教授 (20166359)
落合 英夫 島根大学, 農学部, 教授 (10032971)
川向 誠 島根大学, 農学部, 講師 (70186138)
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Keywords | ユビキノンー10の生産 / 光合成細菌 / ユビキノン生合成鍵酵素 / pHB-PPPトランスフェラーゼ / UbiA遺伝子 |
Research Abstract |
ユビキノンー10(UQ-10)は, 電子伝達系の一成分であり, また心不全等に薬理効果があると言われている重要な脂溶性成分である. 光合成細菌R.rubrumG9(カロチノイド欠損株)はUQ-10を豊富に含有するが生育速度が遅い. 成育速度の速い大腸菌のUQ-8(薬理効果はない)の生合成の駆動力を利用してUQ-10を作らせる事を目指してショットガン法による予備的な実験を行った. その結果形質転換された大腸菌E.coli HB101はUQ量で2倍, 光合成細菌の約10倍の速度で生産することを認めた. UQ-10の様な脂溶性成分の生産酵素系関連遺伝子は予想以上に不安定で形質発現が困難であった. そこで, 光合成細菌のUQ-10生合成能の誘導を試みた. 光合成細菌を増殖の速い好気・暗条件で前培養し続いて通常の嫌気・明条件で培養すると, 菌体量及びUQ-10量の両者は嫌気・明条件のみで培養した場合に比べて約5倍にも増加した. UQ-10生合成の鍵酵素pHB-ppp酵素は膜結合酵素でその性質は殆ど知られていない. 本酵素を部分精製してその性質を明らかにした. UQ-10生合成酵素関連遺伝子を含む光合成細菌の核DNA断片をpUC18をベクターに用いてE.coli JM109にトランスフォーメーションし, ゲノムライブラリーを得た. EcoRl.Hind III.BamHl siteにクローニングしたもの約2,300のコロニーを得ている. さらにこの染色体及びプラスミド由来のプロモーター領域の検索を行い, 16,000及び5,000コロニーからそれぞれ3.7及び1.2Kbpの断片を得, サザンハイブリダイゼーションによって確認した. これらのことを利用して光合成細菌-大腸菌シャトルベクターの構築を目指している. 大腸菌のジーンバンクよりpHB-ppp酵素の構造遺伝子ubiA領域を含むファージを精製し, これを現在構築中のシャトルベクターを利用して光合成細菌に導入してUQ-10の効率的生産を目的とした実験を進めている.
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