1987 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌の致死性プラスミドの機能を抑制する因子とその作用機構
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62560111
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
緒方 靖哉 九州大学, 農学部・附属遺伝子資源研究センター, 教授 (20038277)
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Keywords | 放線菌プラスミド / プラスミド作用抑制因子 / 胞子形成回復作用 / 抗生物質増産作用 / 気菌糸伸長作用 / チオストレプトン生産 / 致死性プラスミド / ・胞子形成 / 気菌糸生育促進物質 |
Research Abstract |
抗生物質チオストレプトン生産菌streptomyces azureusのpock形成プラスミドpSA1.1は宿主細胞の胞子形成とチオストレプトン(TS)産生を著しく低下させる. 本研究では, pSA1.1の宿主細胞に及ぼすこれらの抑制作用を解除し, 胞子形成とTS産生を回復させる物質を検索し, それらの作用を検討し, 以下の結果を得た. なお本研究にはpSA1.1を約30コピー有するPK100a株を主として用い, pSA1を約1コピー有する野生型株及び全くプラスミドを持たないPK100c株を比較に使用した. 1).L-, D-システイン(Cys), シスチン, グルタチオン, バチトラシンにPK100a株の胞子形成を回復させる作用があることを見いだした. 特にL-, D-Cysが最も有効で, PK100a株の胞子形成率は野生型株の10^<-5>以下であるのに対し, 50-200μg/mlの添加で10^<-3>以上に増加した. 一方, 野生型株とPK100c株では顕著な効果は認められなかった. 2).L-, D-Cys及びシスチンにTS増産作用を認めた. 本作用にはL-Cysが特に有効であった. 即ち, PK100株は寒天培地上で野生型株の約65%量のTSを産生するが, 50-200μg/mlのL-Cys添加で80-95%量に増加した. またPK100a株の液内培養ではTS産生は検出不可能であったが, 50-200μg/mlのCys添加によって野生型株の10-30%量のTSを検出した. 一方, 野生株とPK100c株でも50-100μg/mlのCys添加でTS産生が約50%増加した. 3).L-, D-Cys及びバチトラシンは用いた全菌株で気菌糸(或は胞子着性菌糸)の伸長増大作用を示した. 即ち, Cysは気菌糸を50μg/mlの濃度で無添加の約1.5倍, バチトラシンは10-40μg/mlの濃度で1.5-4倍増大させた. 特にバチトラシンの野生型株に対する効果が最も顕著であった. これらの物質の作用機構については現在検討中である.
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[Publications] S. Ogata et al: J. Fac. Agr, Kyushu Univ.,. 32(3.4). 273-281 (1988)
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[Publications] S. Ogata et al: J. Ferment. Technol.,. 66(2). (1988)