1988 Fiscal Year Annual Research Report
ペプスタチン非感受性カルボキシルプロテアーゼ:グルタミックプロテアーゼの可能性
Project/Area Number |
62560112
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小田 耕平 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (50081584)
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Keywords | 酸性プロテアーゼ / カルボキシルプロテアーゼ / アスパルティックプロテアーゼ / ペプスタチン非感受性 / SーPI非感受性 / Scytalidiumタイプ / ペプシンタイプ |
Research Abstract |
カルボキシルプロテアーゼ(CP)は反応至適pHを酸性域にもち、ペプスタチン、SーPI(Pepstatin Ac)や合成阻害剤DAN、EPNPによって阻害される酵素群で、その触媒残基が2ケのAspであることより、最近ではAspartic proteaseと呼ばれる。一方、著者らは独自の発想でペプスタチン非感受性の新しいタイプのCPを種々発見し、検討を加えてきた。その最たる成果は、それらのCPの1つ、S.lignicolumB酵素の触媒残基が今までのAspでなく、Gluであることを明らかにしたことである。CPの触媒残基がGluという報告はなく、この成果はペプスタチン非感受性の一群のCPがGlutamic proteaseである可能性を強く示唆する。本研究はこの可能性を明らかにする目的でペプスタチン非感受性CPのうち、Pseudomonas sp.No.101 CPに的を紋って検討した。 1.全一次構造の解析:本酵素の一次構造を化学的手法で決定した。まだ、未同定の部分を残すものの、本酵素はアミノ酸379残基からなる分子量38,900の一本鎖タンパク質で、1つのSーS架橋を有することが判明した。この構造はペプスタチン感受性、非感受性を問わず、いままでのCPと相同性が全くなく、CPの進化を考える上で、大変貴重な知見と考える。現在、この成果を基に、本酵素の触媒残基の同定を進めている。一方では、遺伝子レベルでの解析を目的として本酵素遺伝子のクローニングを行ったが、いまだクローンの分取に至っていない。 2.特異的阻害剤の開発:ペプスタチン非感受性CPに有効な阻害剤を微生物に求めて検索し、Kitasatosporia属の放線菌を分取した。この阻害剤を単離し、その構造をN-isovaleryl-tyrosyl-leucyl-tyrosinalと決定した。また、新規物質であることより本物質をTyrostatinと命名した。Pseudomonasなどの細菌起源のCPを強く阻害する。1.で一次構造を決定したPseudomonas CPの触媒残基の同定に威力を発揮するものと期待している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kohei Oda: Biochimica et Biophysica Acta. 923. 463-469 (1987)
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[Publications] Kohei Oda: Agric.Biol.Chem.51. 3073-3080 (1987)
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[Publications] Sawao Murao: Agric.Biol.Chem.52. 1629-1631 (1988)
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[Publications] Kohei Oda: Agric.Biol.Chem.53. 405-415 (1989)
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[Publications] Sawao Murao: "Aspartic Proteinases and Their Inhibitors" Walter de Gruyter & Co., 20/613 (1985)