1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸田 昭三 東京大学, 農学部, 教授 (40011845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 典明 東京大学, 農学部, 助手 (20172976)
吉村 悦郎 東京大学, 農学部, 助手 (10130303)
大久保 明 東京大学, 農学部, 助手 (20111479)
山崎 素直 東京大学, 農学部, 助教授 (00011982)
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Keywords | 高分子糖蛋白質 / 腸管よりの吸収 / 胸管リンパ / 蛍光偏光解消測定装置 |
Research Abstract |
62年度においてすでに椎茸菌系培養抽出物よりマウス常在性マクロファージあるいはチオグリコール刺激による炎症性マクロファージのグリコリシス亢進能を指標に分取した免疫活性高分子画分にFITCによって蛍光標識をつけた。前年度と同様にDA系ラットに胸管カニュレーション術を行い、FITCで標識した画分を十二指腸ゾンデによって経口投与した。流出する胸管リンパ液を低速遠心し上清を蛍光偏光解消測定装置にかけた。本年度の結果も前年度と同様に本蛍光物質が腸管より比較的速やかに吸収され、リンパ系へと移行することが確かめられた。本年度は新たにDA系ラットを用い大腿静脈へのカニュレーション術を行い静脈血中の本物質投与後の経時変化を調べた。大腿静脈のカニュレーション術終了後、ゾンデを用いて胃中へ5mg/nclを経口投与した群においては大腿静脈よりの静脈血中の蛍光濃度は有意には上昇しない結果となった。又同時に測定した蛍光偏光解消度(P値)についても大きな変化は観察されなかった。なお尾静脈よりの静脈注射投与群においても同様の経時変化を調べた。静脈注射投与群においては投与後ただちに血中の蛍光濃度が上昇し、4時間ほどは高い血中濃度を維持していた。門脈血中での有意に高い血中濃度の結果を考え合わせると、経口的に投与された本物質は、一般循環系へは門脈行性のものとリンパ管経由のものがあり、門脈行性のものは大部分が肝臓で処理され、リンパ管経由のものは大巾に希釈され、蛍光物質の血中濃度の有意の上昇をもたらさなかったと解釈できた。経口投与群における血中の蛍光検出は、腸管からの吸収率を考慮すると、より高感度にする必要があり、標識剤あるいは標識システムの改良開発の検討が必要となろう。今後本物質の様な高分子物質がどのような機構で腸管上皮細胞の生体膜を通過するのか、より微小レベルでの解析が待ち望まれるところである。
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