1987 Fiscal Year Annual Research Report
シイタケに存在する癌遺伝子ras類縁の2つの遺伝子の染色体分布と一次構造の解析
Project/Area Number |
62560120
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宍戸 和夫 東京工業大学, 理学部, 助教授 (40087549)
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Keywords | シイタケ染色体 / ras遺伝子 |
Research Abstract |
シイタケの染色体を分離するためのパルスフィールドゲル電気泳動装置を作製した. まず, 酵母の染色体分離を試みたところ, 十数本にきれいに分離できた. ところが, シイタケの場合は細胞壁の部分が予想外に, 非常に厚く, 菌糸としてのかさはかなりのものであっても, プロトプラストにするとほとんのわずかの体積になってしまった. そこで大量の菌糸をプロトプラスト化し, 遠心して濃縮し, それをSDS存在下プロティナーゼK処理して電気泳動にかけたところ, 染色体サイズのDNAバンドは得られず, 全て100キロ塩基対(kb)以下の断片になっていた. 他方, DNA分解酵素阻害剤存在下で菌糸を破砕し, 核を分離濃縮し, それをSDSで破裂させると同時に電気泳動してみたが, やはりまともな染色体の分離には至らなかった. 何回も両方法を試みたが結果は同じであった. 一方, ras遺伝子のクローニングであるか, シイタケ染色体DNAを制限酵素EcoRIで切断したときに, 5.3kbと15.0kbのDNA断片上にras類縁遺伝子が存在するので, まず, 5.3kbのものをファージベクターλgt11を用い大腸菌内でクローニングすることにした. 4〜6kbのEcoRI-断片をλgt11に連結し得られたファージクローン約3000についてプラークハイブリダイゼーションし, 有望クローンを10個選び出し, ドットハイブリダイゼーションで3個に, ついでサザンハイブリダルゼーションにより1個にまでしぼり得た. これから挿入断片を分離しサイズを調べたところ5.3kbであった. 現在, 5.3kbを種々の制限酵素で切断し, 得られる断片についてサザンハイブリダイゼーションを行い, どの断片にras遺伝子が存在するかを解析中である.
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