1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560124
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
磯部 稔 名古屋大学, 農学部, 助教授 (00023466)
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Keywords | 月夜茸 / 生物発光 / 発光体 / リボフラビン / ランプテロフラビン / イルジンーS / ビタミンB_2 |
Research Abstract |
この研究は, 陸棲生物の生物発光の分子機構を解明する研究の一環として, 発光体の生成機構解明を目的とする. すでに月夜茸(L.jap)発光体がリボフラビン(ビタミンB_2Rf)であることを明らかにしている. フラビンの発色団は, その螢光スペクトルが524nmに最大波長を示す事および, きわめて困難であった発光スペクトルの測定に成功しその最大波長が524nmであり, 両者が一致したことから推定した. この研究では上記螢光物質を氷水抽出する方法を確立し, 分子レベルでの議論を可能とした. すなわち, 抽出液をAmbey Lite XAD-2のカラムに通し, 螢光物質を吸着させた後, メタノールで溶出する. これを濃縮後, より強い吸着カラムで同じ操作をくり返し, 最終的には逆層HPLCで2回製精する. 螢光物質をODS-カラムで30分程度の位置に溶出させると, リボフラビンに続いて微量な螢光物質が検出された. これは不安定で(全く検出されないことも多いが)分離後スペクトルを測定したところ524nmであった. 以下の事実からこの物質が真の発光体と考えられたのでLampte-roflavinと命名し, その抽出法を検討した. 冷凍保存した月夜茸はそのまゝ抽出してもLfは得られないが, pHで抽出すると検出された. キノコのヒダ部を分離して冷凍保存したものからは収率が向上した. 生きたキノコのヒダをpH3の水中で通気すると, Lfが分泌されRfより多くなった. 残査を冷凍すること無く直接抽出した場合にはランプテロフラビンのみが得られた. これは抽出液あるいは酸により加水分解され, リボフラビンが生成することが判明した. 30kgのキノコのヒダから約100μgのLfを単離し, 500MHZ NMRで分析し, FAB-MSの高分解能測定にも成功した. この結果, ランプテロフラビンはリボフラビンにペントフラノースが5′と1″位で結合しているものと決定した. 月夜茸の発光体がイルジンーSをあるというこれまでの定説を訂正することができた.
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[Publications] M. Isode,: Journal of Bioluminescence and Chemiluminescence. 1. 181-188 (1987)
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[Publications] M. Isode,: Tetrahedron Letters. 29. (1988)