1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560125
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩村 俶 京都大学, 農学部, 助教授 (30026570)
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Keywords | サイトカイニン / 抗サイトカイニン / S-トリアジン / タバコカルス / アスパラガス / 花芽誘導 |
Research Abstract |
アデニン型およびジフェニルウレア型サイトカイニンと本研究代表者らにより開発されたアデニン型抗サイトカイニン(ピロロピリミジンおよびピリドピリミジン誘導体)の活性発現構造に関するこれまでの研究成果をふまえ, 研究計画に沿った以下のような実験を行い所定の成果を得た. 1.標的化合物の設定と合成. アデニン型サイトカイニンにおいて必須構造であるアルキルアミノ基はあるいはアリルアミノ基を保存しながら複素芳香還化合物であることを分子設計の基本とした. そして考えられるいくつかの可能性の中からS-トリアジン構造を, これまでに明らかにした活性発現に必要な構造要因を充足しうるものとして取り上げた. 具体的にはS-トリアジンの6位にアルキルアミノ基あるいはアリルアミノ基を導入し, その他の2および4位には塩素とエチルアミノ基を導入した誘導体を合成した. 合成は6位置換基の構造を系統的に変化させるように行った. 2.抗サイトカイニン活性. 抗サイトカイニン活性は, タバコ(ウイスコンシンNo, 38株)カルスの0.05μMカイネチンによる増殖を50%阻害する濃度をもってその指標とした. 活性検定の結果, 6位置換基が炭素数3個から6個のシクロアルキルアミノ基か, あるいはα位にメチル基程度の大きさの枝分かれがあるアルキルアミノ基のとき, 顕著な抗サイトカイニン活性を示すことが明らかになった. アリルアミノ基を持ったものにも活性が認められたが強いものではなかった. これらのことより, 活性発現には6位置換基の立体形状が重要であることがわかった. 以上のことより, 本研究において初めて非アデニン型の抗サイトカイニンが開発された. またこれらの誘導体がアスパラガス実生に花芽を誘導する活性を示すことも明らかにされた. 今後はより新規な非アデニン型抗サイトカイニンを標的として研究を行う.
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