1987 Fiscal Year Annual Research Report
β-ガラクトシダーゼの転移作用を用いたガラクトオリゴ糖の生産
Project/Area Number |
62560126
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松野 隆一 京都大学, 農学部, 教授 (30032931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 一弘 岡山大学, 工学部, 教授 (90026584)
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Keywords | β-ガラクトシダーゼ / ガラクトオリゴ糖 / 転移作用 / 酵素の化学修飾 / 固定化酵素 / Bacillus circulans |
Research Abstract |
牛乳やチーズホエーを用い食品加工や, 食品添加物の生産を行う際に, ラクトースの低溶解性に伴う加工上の不利の解消と, 脱カルシウムによる低温貯蔵乳タンパクの沈澱防止, ビフィダス因子としての機能の付与等を行うために, Bacillus circulansのラクトース加水分解能の高いβ-ガラクトシダーゼ1(β-Cal1)とガラクトオリゴ糖生産能の高い酵素(β-Cal2)を用いて効率よくガラクトオリゴ糖を生産することを目的とし, (1)β-Cal1の化学修飾によるオリゴ糖生産能の増強(2)生成オリゴ糖分布の経時変化, 及び(3)固定化酵素の調製と特性の検討を行った. β-Cal1を0.01〜3%の種々の濃度のグルタールアルデヒドで処理すると, 酵素表面上のアミノ基が0〜90%修飾された. 修飾に伴い, オリゴ糖の最大生成能が増加し, 修飾率0%のとき生成率が6%であったものが, 40%で12%, 60%で24%, 90%で40%にも達した. さらにkm値も16mMから100mMに増加した. グルタールアルデヒド処理を行うと酵素間の架橋も起こるが, オリゴ糖生成能の増大は, 架橋によるものでなく, 活性部位近傍のアミノ基修飾によることが示唆された. 化学修飾によるこのように大きな反応特異性の変化は酵素化学的に興味深いが, 粗酵素を精製することなく, ガラクトオリゴ糖生成能を高め得る点で実用的にも意義深い. β-Cal2及び化学修飾β-Cal1のオリゴ糖生成の経時変化はよく似ており, ラクトースの転換率が40〜50%付近で生成率が最大となり, 以後減少し, 転換率100%近くではすべて再加水分解される. 生成オリゴ糖は, 三, 四, 五糖及びラクトースとは異なる二糖で, グルコースを1つ含むガラクトオリゴ糖である. 担体に吸着後グルタールアルデヒド処理する固定化法を採用したが, 安定性に関してMerckogelが最も適していた. しかし, 操作中可逆的に失活し, 失活の速度は比活性の増大とともに大きくなった.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Z. Mozaffar: Appl. Microbiol. Biotechnol. 25. 426-429 (1987)
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[Publications] 中西一弘: "バイオリアクター(バイオリアクター研究会編)6章2節ラクターゼによるガラクトオリゴ糖の生産" 株式会社アイビーシー, 12 (1988)